IT Stock Frontline
日米ともに株価波乱 日経平均は今年最大の下落
2005/05/02 16:04
週刊BCN 2005年05月02日vol.1087掲載
中国の反日デモなどが影響
日経平均株価が今年最大の下落(4月18日に432円安)を記録するなど、東京市場は波乱の展開となった。下げの背景は①中国の反日デモ拡大、②ハイテク企業の業績悪化、③景気減速懸念による米国株の調整──など。
①については、日本製品不買運動が強まるとの懸念から、鉄鋼、海運、機械など中国経済の拡大の恩恵を受けるセクターの株価が一斉に急落した。結局、対日貿易の大きさに配慮したのか、中国政府が謝罪の姿勢に傾いたことで中国情勢による売りは一巡。しかし、中国をはじめアジア経済に対して依存度の大きい企業は今後厳しい目で見られることになりそうだ。
②のハイテク企業の業績については、IBMが発表した1-3月期決算は売上高がソフトウェア、サービス、ハードウェアの主要3事業すべてで見通しを下回るという惨憺たるものだった。また、ハイテク企業としては世界の勝ち組である韓国サムスン電子も1-3月期の純利益が半減、IT景気が世界的に変調を来たしていることを示した。
そして③の米国株の下落。4月15日にはニューヨークダウ平均が今年最大の下げとなったが、IBMの決算に対する失望売りのほか、景気減速懸念の広がりが背景。発表された3月の小売売上高が昨年4月以降で最低の伸び率となったほか、小売大手ウォルマートの業績不振もあり、「GDP(国内総生産)の7割を占める個人消費の鈍化→景気減速→企業業績悪化」という連想が広がったようだ。
その後米国株は落ち着きを取り戻したが、マーケットに安心感を与えたのがインテルの好決算。1-3月期は過去最高の売上高を記録、利益率も予想を上回った。05年の設備投資額を54-58億ドルに引き上げたことから、これがハイテク株全体にはプラス材料となった。(有賀勝久)
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