“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日
<“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日>1.プロローグ~相反する2つの関係~
2005/05/02 16:04
週刊BCN 2005年05月02日vol.1087掲載
メディア上では、「ネットとテレビとの融合と言いながら、ビジョンを示せなかった。結局、マネーゲームだったのか」と口さがなく言う声も少なくなかった。
世間的には、新興ネット企業がエスタブリッシュメントの最たるテレビ局を飲み込むという話は“荒唐無稽”なものとして退けられた感がある。
その2日後、ヤフーが2004年度の連結決算を発表。売上高は前年度比55.4%増の約1178億円と、国内のインターネット関連企業として初めて1000億円の大台を突破したことが明らかになった。好調の要因は広告収入だ。
電通の調べては04年、ネット広告の総額は前年比53.3%増の1814億円。媒体別ではラジオを抜き、伸び悩む雑誌(3970億円)の約半分となった。確かに2兆436億円のテレビ、1兆559億円の新聞には遠く及ばないが、各媒体が成熟するなかで伸び率は最も高い。
20-30代では、ネットの平均利用時間がテレビの平均視聴時間を抜いたという調査もあるぐらいである。経済原則から言えば、ネット広告の伸びしろはまだまだ大きいはずだ。
ライブドア騒動の結末とヤフーの好業績。この相反する関係は興味深い。もう1つ興味深いのが、地上デジタル放送と光ファイバーの関係である。
国は2011年7月までに地上波をデジタル放送へ完全移行させる計画だ。一方、NTTは中期経営戦略で「2010年時点、FTTH加入者数3000万回線」を掲げる。
ネット放送局、ビデオニュース・ドットコムに主演したライブドアの堀江貴文社長は、「国は勇気を持って計画を断念すべき」と指摘している。同氏の頭の中には、地上デジタル放送が視聴者にもたらす効用はネットでも担えるというイメージがある。
ライブドア騒動が静まった今こそ、ネットとテレビの関係を考えてみることは無駄ではないだろう。技術的にネットはテレビの伝送路となり得るのか。テレビという頑強なビジネスモデルをネットは取り込めるのか。(坂口正憲(ジャーナリスト))
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