大遊泳時代

<大遊泳時代>第66回 「メール道」と「メール学」の普及

2005/04/25 16:18

週刊BCN 2005年04月25日vol.1086掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 今年、KDDIでテレックスが50年の幕を閉じるという。その報道をみて、通信の歴史を振り返ってみた。

 「のろし」、「太鼓」で現象の伝達と人心の喚起が行われ、「旗振り」、「駅伝飛脚」で事実の伝達と意思の通告がなされるようになった。それが通信技術のお蔭で「電話電報・テレックス」となり、中味の説明と確認もできるようになった。

 そして現在は、携帯電話、ファクシミリに加え、eメールのお蔭で、瞬時、大量、双方向の時代。ありがたいといえばありがたいが、悩みも増えてきた。

 今、ビジネスマンの悩みは、毎日送られてくる大量メールの処理と迷惑メールの解決である。ある人曰く、「週1日、メール禁止デーを作っては!」。中抜きの流行で、上下一体もよいが、礼儀作法も無茶苦茶である。メール依存症の人にはよいが、不要なメールの消去に1日中かかっていては経済成長もくそもない。

 総務省も迷惑メールの自衛を呼びかけているが、昨年9月の日本経済新聞と日本インターネットプロバイダ協会の調査では、折角の迷惑メール対策法も3割が役に立たないといっている。
 また、ビデオリサーチの調査では、付き合いの多い人は1日10通を超える。

 最近、久留米大学の調査が公表されたが、高校生は帰宅後、1日平均1時間少しメールにのめり込む。女性は2時間以上とのことで、睡眠障害となっているとのこと。

 使う人の自覚、相互のマナー向上に、もっと社会を挙げて啓蒙キャンペーンを起こしてはどうだろうか。

 NTT出版より久米信行著「メール道」が出ている。企業も研修に、学校も教科に「メールマナー・メールテクニック・メール学」を入れてはどうか。

 ねえ、ワトソン君、「読み、書き、そろばんはどうなったのかね?」。「今は英語、メール、カードの時代ですよ」。
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