大遊泳時代
<大遊泳時代>第65回 携帯・取説の貸し出し制
2005/04/18 16:18
週刊BCN 2005年04月18日vol.1085掲載
松下電器産業 役員 前川洋一郎
携帯電話機の調子が悪く、周りの勧めについ乗って、最新の高級モデルに買い換えたのがまずかった。同じキャリア、メーカーなのに操作が少し違う。電話帳はどこへ行ったか、写真を写すのは、マナーモードは…?
イライラして体全体がブルブルモード。
早速に取扱説明マニュアル(取説)を出したが、どこを見て良いものやら。全くの初心者でもないし、詳しいベテランでもない。中途半端な乗り換え組には不便。取説の制作にはキャリアも困っていることだろう。
その昔、愛息から「携帯などマニュアルはいらない。環状線を2─3周する間、ボタンを押し続けたら、ものになるよ」と言われ、新幹線で挑戦したら、本当に身についたことがある。習うより、読むより、慣れろである。
音響機器のマーケティング担当だった若い頃、消費者からクレームを頂く都度、取説が分厚く詳しくなっていき、閉口したものだ。もっと簡単にと言っても、品質管理部門やサービス部門が、やれ電取だ、やれ消費者保護だとか言って、ちっとも改善しなかった。
しかし、今の家電製品の取説は実に見やすく、読みやすく、薄くて便利である。エコロジーとの葛藤が進歩改善の母となったのであろう。
どうだろうか、携帯の取説は「初心者用」、「乗り換え用」、「ベテランプロ用」と3種類に分け、しかも、同梱せず、希望者が1週間貸し出しを受ける、身についたら返却するという、貸本制にしては。
これなら100万台販売しても10万冊で済むかもしれないし、家で使わずに捨てることの後ろめたさからも解放されるのでは。スタンドホルダーと充電器も選択制にして欲しいね。
ねえ、ワトソン君「携帯も成熟期で、消費者マーケティングの時代だね」。「そんな難しいこと言わずに、消費者もこれからは文句言いっこなしの自己責任の時代ですよ!」。
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