未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>23.アメディア
2005/04/11 20:43
週刊BCN 2005年04月11日vol.1084掲載
視覚障害者向けのソフト
アメディア(望月優代表取締役)は1989年の設立以来、視覚障害者向けのソフト開発・販売事業に特化した事業展開を行っている。テキストデータを点字変換するソフトや、ホームページの文字を音声で読み上げるソフトなどを開発してきた。目の不自由な人のインターネットとコンピュータの利用をソフト開発の立場から支援している。望月代表取締役は、自らも全盲というハンディキャップを持つ。「インターネットとコンピュータの利便性を視覚障害者にも提供する」(望月代表取締役)ためのソフト作りを一貫して開発コンセプトに置いている。
現在、5人の開発者で自社開発製品を5種類揃えるほか、高知システム開発(大田博志代表取締役)が開発したソフトなど、他社の視覚障害者向けソフトを約30製品仕入れて、代理販売も手がける。自社開発のホームページ読み上げソフト「ボイスサーフィン」は、約1000本の販売実績を持つ。また、紙文書をスキャンすると自動的に文字情報を音声データへ変換するソフト「ヨメール」と「よみ姫」の販売本数は合計で3000本を超えた。
直販と全国約150社の販売パートナーを通じて、盲学校や社会福祉施設などを中心に製品を販売している。ソフトの全販売本数のなかで、直販が約3割を占め、残り7割が販売パートナー経由となっている。
厚生労働省の調べによると、日本国内の視覚障害者数は約30万人。望月代表取締役は、そのうちインターネットを利用しているユーザーは「10分の1程度しかいないだろう」と予測する。「目の見えない人でもインターネットが利用可能なことや、そのための支援ソフトがあることを知ってもらうことがまだまだ必要」と話す。そのため、視覚障害者向けのメール相談窓口を開設している。会員数は1000人を超えるという。
視覚障害者やその家族などに向けた無料のメールマガジンも3種類発行している。自社製品の販売プロモーションとともに、ソフトの操作説明、福祉情報などを掲載する。メールマガジンの送付先は約4000件におよぶ。
無料で情報提供することで、各地の盲学校や社会福祉施設に接点がない情報不足の視覚障害者にもアプローチしていき、認知してもらうことを営業戦略の重点ポイントに置いている。
「使いやすさと分かりやすさをポイントに置いたソフトの機能には自信がある」(望月代表取締役)。知名度を上げることで、ビジネス拡大と視覚障害者のネット利用を支援していく。(木村剛士)
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