IT Stock Frontline

親会社と子会社の関係 時価総額の逆転が話題に

2005/04/11 16:04

週刊BCN 2005年04月11日vol.1084掲載

来るべき「大買収時代」に関心

 ソフトバンクという新たな役者が登場してきたライブドア対フジサンケイ・グループの戦い。そもそもフジテレビジョンの大株主はフジより規模の小さいニッポン放送。ニッポン放送の経営権を握れば実質的にフジテレビを支配できるという“ねじれた資本関係”があり、そこにライブドアが目を付けたことが今回の買収劇の発端といっていい。

 フジとニッポン放送のように、子会社の時価総額が親会社を上回っているケースは意外に多い。例えば時価総額4兆円のヤフーの筆頭株主のソフトバンクの時価総額は1兆5000億円。ソフトバンクはヤフー株の42%を保有するからその価値だけで1兆6000億円ということになる。つまり、株式市場でソフトバンクは、保有するヤフー株の価値しかなく、その他の事業についてはまったく評価されていないということになる。

 子会社の時価総額が親会社(持ち株比率20%以上)を上回っているケースをIT関連企業で見ると、NTTドコモ(親会社はNTT)、ローランドDG(ローランド)、カカクコム(デジタルガレージ)、アルゴグラフィックス(アルゴ21)などがある。

 一方では、来るべき「大買収時代」も話題になっている。商法改正で外国企業が株式交換で日本企業買収が可能になる(1年先送りされ2007年から)。一般的には、保有する資産を事業に生かしていない経営効率の悪い企業が買収のターゲットになるとの見方が多いが、知名度のある巨大企業すらターゲットになる可能性がある。

 例えば、世界的なブランド力を持つソニーの時価総額は3兆円。日本では上場企業のベスト20に入るとはいえ、韓国サムスン電子の半分に過ぎない。ソニーの株価は本年の高値を更新。経営陣刷新のほか、「大買収時代」を前にしたブランド力再評価が背景にある。(有賀勝久)
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