大遊泳時代

<大遊泳時代>第62回 カメラ付携帯のレンズを着脱式に

2005/03/28 16:18

週刊BCN 2005年03月28日vol.1082掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 ある著名な学者が、必ずといっていいほどデジタルカメラを持ってこられて、初顔合わせで名刺交換すると、並んで写真を撮って下さる。

 こちらは、恐縮かつ光栄なのだが、なぜかとお聞きすると、名刺だけでは相手のことを覚えきれないので、保信簿に名刺と顔写真を揃えて整理されるとか。そのキメ細かさに感心した。

 私は、顔どころか名前を覚えることも苦手なので、パーティでも、相手の名札を見つつ、会議でも出席名簿を見て、脳みそをかきまわしている。社内では、別に失礼でもなんでもないが、社外となるとそうもいかない。そこで、私は名刺をもらったら、即、携帯にメモるようにしている。

 東京、公共、報道、飲屋…などと区別しているが、名前と会社名の一致が精々で、顔までは結びつかなくて失態が多い。

 そこへ当社の若い支店長が良い提案をもってきた。携帯のレンズを脱着式にして「めがね」のフレームの角にはめ込む。対談の時、名刺交換の時、瞬き2回、またはフレームに触ると「パチリ」。ブルートゥースで携帯に飛ばすか、めがね紐をUSBと兼用にするのも手である。

 その上、写真の上にカラオケ歌詞のように、名前会社、電話番号、日付、関係をオーバーレイできると言うことなしである。

 どうだろうか、カメラ付携帯は子供の犯罪とか、痴漢騒ぎで悪役扱いだが、善用を考えれば素晴らしい。

 時あたかも、NTTドコモで携帯の利用マナーの研究、文化、法律、インフラなどの役割論議をする「モバイル社会研究所」ができたとか。2007年より搭載されるGPS機能もしかり、携帯は使いようである。

 ねえ、ワトソン君、「飲み屋のママさんは数年振りに会っても、『お久し振り、洋ちゃん』とくるが、どうして覚えているのかね?」。「それはね、あなたの脳はRAMで、ママはROMだからですよ!」。
  • 1