IT Stock Frontline
ライブドア問題で広がる波紋 妥協点探る努力が必要
2005/03/28 16:04
週刊BCN 2005年03月28日vol.1082掲載
「日本売り」の懸念広がる
ライブドアによるニッポン放送買収劇は、日本では初めてともいえる大規模な敵対的買収として注目を集めている。3月18日時点ではライブドアの取得株数は50%前後に達し、ニッポン放送の経営権取得が濃厚となったほか、フジテレビ株の買い増し意向を明らかにしている。ライブドアとフジテレビの攻防は6月下旬のニッポン放送の株主総会をにらみながら続くことになりそうだ。ただ、これ以上力勝負が続くとライブドア、フジサンケイグループともに受けるダメージは大きい。
そもそも敵対的買収とは、買収に反対する相手企業の経営陣に敵対するのであって、株主、従業員などに敵対するのではない。ニッポン放送の従業員を敵にしてしまったライブドアが、強引に経営権を取得しても得るべきメリットは少ないのでないか。
フジ側も有力子会社を切り離す「焦土作戦」を実行すればグループの価値を落とし、既存株主を裏切ることになる。お互いが妥協点を探る努力をするべきだろう。
今回の騒動で明らかになったのは敵対的買収に対する政財界、企業サイドの拒絶反応の強さ。森喜朗前首相の「カネさえあれば何でもいいという考え方は今の教育の成果か」という発言がその例だ。
残念なのは、商法改正の目玉の1つだった「外国企業株式と対価とした株式交換による日本企業の買収を認める」という部分が1年先送りされてしまったことだ。1996年には当時の橋本龍太朗首相・対日投資会議議長が「海外資本によるM&A(企業の買収・合併)を増加させる」と宣言しておきながらだ。海外から「日本市場の閉鎖性論」が再び高まり、株式市場で「日本売り」の動きが広がる懸念なきにしもあらずだ。(有賀勝久)
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