IT Stock Frontline
ヤフーが初の配当実施 連結純利益の10%を充てる
2005/03/21 16:04
週刊BCN 2005年03月21日vol.1081掲載
株価の勢い鈍化が要因
ヤフーは2005年3月期末に初めて配当を実施する。ヤフーは97年の株式上場以来、利益は成長のための投資に回すことを優先してきた。利益配分策を転換したのは、株価にかつての勢いがなくなったことが1つの要因。上場以来行なってきた1対2の株式分割は10回を数える(今年3月末で11回目)。上場時に1株を購入して保有を続けていたとすると株式数は1012株に増え、8年間での実質的な株価上昇率は200倍強になる計算だ。株主にとっては、「配当はもらえなくても株価上昇で十分」という構図だった。
しかし、ここへきて株価の勢いは鈍っている。昨年9月以降の半年間は45-57万円の間での動き。株価上昇による利益が享受しづらくなった株主からは配当による利益配分を求める声が大きくなっており、それに応えての配当実施。今後は連結純利益の10%を配当に充てる方針だ。
ヤフーの動きで思い起こされるのは米マイクロソフト。同社の場合も、獲得した利益は成長のために再投資することを標榜して配当を行ってこなかった。しかし、会社分割説が話題になるほど巨大になってからは方針を転換。03年に配当税率が引き下げられたこともきっかけになり初めて配当を実施。昨年12月には総額320億ドルの特別配当を実施した。邦貨換算で3兆円強は日本の上場企業の配当の総合計に相当するもので、いかに巨額かが分かる。
見方を変えれば、ヤフーもマイクロソフトも配当実施は、成長力が衰えたことを自ら認めてしまったことになる。3月末の株式分割実施後のヤフーの株価が注目される。
また、ヤフーに限らず株主に対する利益還元を重視する日本企業が増えている。オービックは、05年3月期末に配当を10円増配、年間配当を110円(前期は80円)にする。(有賀勝久)
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