未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>19.サイエンスパーク

2005/03/14 20:43

週刊BCN 2005年03月14日vol.1080掲載

ドライバーに情報漏えい防止機能を

 サイエンスパーク(小路幸市郎代表取締役)は、デバイスドライバーソフトの開発とその開発ツールの販売を中心に事業展開している。デバイスドライバーの市場規模は大きくないが、「デバイスドライバーを専門で開発するベンダーはなく、業績は1994年の創業以来、連続して前年度売上高を上回っている」(小路代表取締役)。コンピュータやパソコン周辺機器メーカーからの開発案件の受注により、安定的な成長を遂げてきた。

 右肩上がりの成長を維持しつつ、さらに業績を拡大させるために、デバイスドライバーの開発事業だけでなく、新たなビジネスモデルの模索も続けてきた。「あくまでも焦点はドライバー。OSの上で動くアプリケーションではなく、新たな機能を提供できるドライバーに焦点を当ててきた」(小路代表取締役)。

 そのなかで生み出したのが、04年5月に発売した内部情報漏えい防止機能を提供するドライバーウェア「4th Eye」。リムーバブルディスクへの書き込み禁止やファイルの持ち出し検知、印刷の制御、持ち込みパソコンの検出など、内部からの情報漏えいを防ぐ5つの機能を備える。さらにログ収集機能も持つ。

 4月1日の個人情保護法完全施行が迫っているなか、情報漏えい防止機能は、情報セキュリティ市場のなかで最もニーズが高い。同機能を提供する製品として、日立ソフトウェアエンジニアリングの「秘文」やインテリジェントウェイブ(IWI)の「CWAT」などがある。

 これらの情報漏えい対策製品と大きく違うのが、OSの上で動くアプリケーションではなく、カーネル層で動くドライバーウェアであること。これにより、「複雑な知識や高度なインテグレーション技術を必要とすることなく、導入・運用が行える」(小路代表取締役)という。

 ある大手地銀に2000クライアントを導入したのをはじめ、今年1月末時点で250社、7万クライアントに導入。今年3月末では、300社、10万クライアントを突破する見込みだ。セキュリティベンダーへのOEM(相手先ブランドによる生産)供給も約10社ある。三菱電機インフォメーションシステムズやキヤノンシステムソリューションズが提供するセキュリティソフトのデバイス制御機能は同社の技術を使っている。

 この好調さを受け、販売パートナー網の拡充に着手。販売パートナーを現在の10社から15社まで拡大させ、さらに販売に拍車をかける考えだ。(木村剛士)
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