総IT化時代の夜明け SMBの現場を追って
<総IT化時代の夜明け SMBの現場を追って>19.サンテク(下)
2005/03/14 16:18
週刊BCN 2005年03月14日vol.1080掲載
最新ITと既存商材の融合進める
サンテクが運営するコンシューマなど14の一般顧客向けのECサイトでは、2004年初めから商品情報を蓄積している「資料データベース」からXMLウェブサービスを使って情報を引き出せるようにした。サンテクのECサイトのなかでIT商材を扱うサイトは多く、商品情報の基礎となるデータを引き出せるようにしたことで作業効率が大幅に改善したという。今後は、サンテクからIT関連商材を購入する販売店でも、この資料データベースからXMLウェブサービスを使って商品情報を入手できるよう検討している。
これまで、販売店のECサイト向けに商品情報が欲しいという要望があった時は、サンテクが運営するECサイトの当該商品掲載ホームページのアドレスを渡すことがあった。しかし、これではアドレスをクリックした顧客が、リンク先であるサンテクのECサイトに来てしまう。販売店から見れば、自分の顧客を仕入れ先に誘導することになり不評を買っていた。XMLウェブサービスを使って、商品情報だけを販売店のECサイトなどへ送ることができれば、販売店のECサイト内で商品情報の閲覧から購入まで完結できるため、販売店の満足度は向上する。
サンテクでは、常時約500社ほどの販売店にIT関連商材を卸しているが、「ECなどインターネットをうまく活用し、販売効率を高める努力をしている販売店の業績が伸びる傾向があるようだ」(山田社長)と、成熟市場で利幅が少ないハードウェアの販売でも、ITを活用して販売効率を高めれば収益拡大が見込めると分析する。
流通卸業のサンテクとして、XMLウェブサービス方式による商品情報の提供が、ITを積極活用する販売店に対する販売支援に結びつくよう力を入れる。サンテクでは、XMLウェブサービス方式は世界標準の汎用性や拡張性が高い技術であるうえに、情報セキュリティも高く、必要以上のデータを外部に露出する危険もきわめて少ないと評価しており、今後とも積極的に同方式を活用していく方針だ。
一方、サンテクのソフト開発子会社であるテクニカルソフトは、家計簿ソフト「てきぱき家計簿マム」シリーズなどパソコン用のパッケージソフトの開発で知名度が高い。「てきぱき家計簿マム」シリーズは、パソコンへのバンドルなどを含めて累計2000万本の出荷本数を誇る。ユーザー登録数は100万人余りで、うち6-7割が女性ユーザーだという。
100万人のマムユーザーは、サンテクにとって重要な資産であり、マムユーザーに向けたサービス拡充を通じて事業拡大に取り組んでいる。その基盤となっているのがサンテクが運営する会員制サイト「マム倶楽部」。現在、マムユーザーを中心に約3万人が利用している。04年11月からは、日記形式でホームページを制作できるブログを取り入れた写真付きの日記サービス「写日記@マム」を始めた。
「写日記@マム」では、デジタルカメラなどで撮影した写真を交えて日記をつけられるサービスを提供しており、「ユーザーからの反応は上々」(髙橋伸彰・サンテクコンシューマー事業部企画営業部部長)と、利用者が急速に増えていると話す。マム倶楽部ユーザー向けのサービスとして、他にもオンラインで家計簿がつけられる「家計簿@マム」や料理レシピ情報の「料理@マム」、ショッピングモールの「マム横町」など、さまざまなメニューを用意している。
これまで、「てきぱき家計簿マム」シリーズのユーザーは、ソフトを自分のパソコンにインストールして単独で使うユーザーが大半を占めていた。こうしたユーザーをネット上に誘導することで、新しいビジネスチャンスをつかむのが狙いだ。「てきぱき家計簿マム」シリーズのユーザーは女性が多く、ショッピングを好む可能性が高いことから、ECサイトとの親和性が高いと判断した。
テクニカルソフトのパッケージソフトとサンテクのオンラインサービスを「シームレスに結びつけることで、新しい需要を創出できる」(山田社長)と、オフラインとオンラインの融合ビジネスを進める。
XMLウェブサービスやブログなど、新しいインターネット技術を駆使したネットサービスと、既存のIT商材を融合させた新しいビジネスモデルの構築を急ぐ。(安藤章司)
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