未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>18.情報処理システム研究所
2005/03/07 20:43
週刊BCN 2005年03月07日vol.1079掲載
下請けからの脱却
情報処理システム研究所(諏訪長司代表取締役)は、1981年の設立以来、ITベンダーから受注するソフト開発が主なビジネスとなっている。メーカー系、独立系ベンダーを問わず、大手のITベンダーから開発案件を受注。法人向けソフト開発で20年以上の実績がある。その同社が今、顧客ターゲットをこれまでのITベンダーだけでなく、エンドユーザーまで広げようとしている。
大手ベンダー向けの2次請け、3次請けなどの下請け開発案件は、「案件数が増えても、開発者の人月単価がなかなか上がらない」(諏訪代表取締役)状況。この慢性的な悩みを解消する手段として、「利益率を考えれば、エンドユーザーから直接請ける仕事を増やしたい」(同)としており、エンドユーザーからのソフト開発案件の獲得に力を入れ始めているわけだ。
現在、全売上高に占める下請けでのビジネスは、全体の70%を占め、残りがエンドユーザーからのプロジェクト。将来はこの比率を半々にすることを目論んでいる。
そのために、諏訪代表取締役が強化ポイントに挙げるのが、開発体制の整備、そして営業力の強化だ。営業では中小企業にターゲットを当て、業種でも分野を絞っている。これまでの下請け開発案件で実績のある建設業と金融業、人材派遣業に向けた営業を活発化させている。営業担当者は自社の開発出身者で固める方針で、開発の現場を経験している人員を増やす計画。
「技術に精通した営業担当者でないと、不採算化するケースが多い」(諏訪代表取締役)という経験からだ。
開発者の増員に関しては、主に“話のできる”開発者の拡充と育成に力を入れている。顧客との会話のなかで、仕様書をしっかり詰められる開発者を確保する。不採算案件の発生を防ぐためには、営業も開発も幅広いスキルが必要だ。
昨年、情報処理システム研究所では、大規模な開発案件で不採算案件が発生した。このことが教訓となり、開発プロセス管理と上流工程の仕様書作成や設計スキルの向上に力を入れている。
将来は、強みである建設業や人材派遣業向けソフト開発案件で蓄積したノウハウをもとに、パッケージソフトとして販売することも計画している。ただ、「現在は売るノウハウがないため、当面はエンドユーザーへの直販ビジネスを強化していくことが先決」(諏訪代表取締役)としている。開発するだけの技術集団としてだけでなく、“仕事を獲る”ことにも積極的に動いている。(木村剛士)
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