大遊泳時代
<大遊泳時代>第59回 アルバムはどうなるか
2005/03/07 16:18
週刊BCN 2005年03月07日vol.1079掲載
松下電器産業 役員 前川洋一郎
私の友人、市川光男氏が「東京に生きる江戸を歩く会」を主宰され、毎月1回、江戸400年の歴史、庭園をたずね親睦を深めて大人気である。この会の人気の秘密は、①会費が3000─4000円で安い、②事前のレジュメが、どこにも載ってない、市川氏の足でかせいだもの、③歩きが主体で、しゃれた昼食が楽しみ、④肩書・老若男女関係なし──というが、最高の魅力は終わった後の市川氏からの写真のプレゼントである。なんと1人1枚のA4サイズで、各人中心の写真に、全体ストーリーがわかるコマが数枚、レイアウトされている。
1枚を見てすべてが思い出せ、シンプルで整理しやすい。これだけの編集をする市川氏のIT能力に脱帽、と同時に羨ましいが──ふっと思うに、こうなると街のDPEはどうなるか、家のアルバムはどうなるか、無用の厚物にならないか。
カラオケでイグノーベル賞をもらった井上大佑氏が、どんどん増えていく歌詞カードに困って、ビニール入りで追加していけるビニ歌詞本を考え出し、実用新案をとられたが、欲張って権利行使しなかったので、その後アルバムやダイアリーにこの形式が使われてきたとも聞く。
これとて家族も多く、幾年月増えるとパンクだ。今、VHS→DVDのサービスも出てきた。携帯・デジタルカメラのSDカード、パソコン・プリンタの編集ソフトが普及するにつれて、紙焼き→SDメモリのニーズが出てくるかも。今さらスキャナなど時間がないが。
イノベーションジレンマと言って笑ってられない。家族は生れた時から子供1人ずつのアルバムにしておく。別れた人の写真は早く片付ける。友人から10枚写真をもらったら、チョイスして整理しないと追いつかない。
ねえ、ワトソン君!「デジタルだからといって安心できない。SDカードも整理学を確立しないと!」。「いいこと言いますね。それがソリューションというかCSですね!」。
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