e-Japanのあした 2005
<e-Japanのあした 2005>26.IT政策パッケージ─2005
2005/03/07 16:18
週刊BCN 2005年03月07日vol.1079掲載
2001年1月にスタートしたe-Japan戦略Iは高速通信インフラ整備や電子商取引などの重点5分野で施策を実施。03年7月の戦略IIでは医、食など先導的7分野を加えてIT利活用を促進するための施策を打ち出してきた。昨年2月のe-Japan戦略II 加速化パッケージに盛り込まれた施策では、この1年で評価専門調査会が積極的に活動を展開し、情報セキュリティ補佐官も設置されて新体制に向けた準備が進み、e-文書法が成立して4月に施行される予定と、着実に成果を積み上げてきた。
IT政策パッケージ-2005は、目標期限まで残り1年となっていることから、各府省の施策を散りばめた総花的な計画ではなく、評価専門調査会の提言内容に対応した形で、ぐっと焦点を絞り込んでいる。評価専門調査会が3回の中間報告のなかで取り上げてきた分野は、電子政府・電子自治体、ブロードバンド・ユビキタスネットワーク、教育・人材、医療、移動・交通などで、特に国民に最も身近な行政サービス、医療、教育・人材の3分野に注目してきた。今回の政策パッケージも(1)行政サービス、(2)医療、(3)教育・人材、(4)生活、(5)電子商取引、(6)情報セキュリティ・個人情報保護、(7)国際政策、(8)研究開発の8分野構成となっており、特に前半の4つの分野で利用促進に重点を置いた施策が充実されている。
行政サービスは、すでに昨年3月でほとんどの行政手続きでオンライン化が実現したことになっているものの、全ての国民が利用できる状況ではなく、利用も進んでいないのが実情だ。政策パッケージでは、利用件数が多い登記、国税、供託などの手続きに重点を置いて、現状では別途郵送などの手続きが必要な添付書類のオンライン化や、365日24時間受け付けるノンストップ化を推進していくことを明記。また、利用可能地域の全国展開も、登記が08年度早期、自動車保有関係手続きが新車新規登録について07年中と期限を明示したほか、地方自治体の汎用受付システムを利用する旅券のオンライン申請は早期普及に向けて必要な支援措置を講じていくことになった。
医療では、レセプト(保険診療報酬請求)の電算化・オンライン化の促進に向けた施策が大幅に強化された。レセプトコンピュータ導入済みの病院に対して標準レセプト電算コードへの変換ツールを開発、05年度中には提供するほか、レセプトコンピュータのオープン化を推進。インセンティブ供与などの対策も講じて病院と審査支払機関の間でのレセプト電算化・オンライン化を促進する一方で、審査支払機関から地方自治体などの保険者に提出されるレセプトの電算化にも取り組んでいく。教育・人材では、民間、ボランティアなどで取り組まれている教室のネットワーク化運動「ネットデイ」に対する支援などを通じて学校のIT環境の整備を推進していくことが盛り込まれた。
最近大きな社会問題となっている銀行などの偽造カードやフィッシング、迷惑メールなどの対策も、(4)の生活分野の中の施策として積極的に取り組んでいくほか、国際政策ではインド洋地域における津波早期警戒メカニズム構築への貢献を明記。戦略目標の達成に向けて政策パッケージの早期実現をめざしていく。
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