息吹くXMLウェブサービス
<息吹くXMLウェブサービス>第5回 ソンズ 「アイ-サイトポータル」でウェブの生産性向上へ
2005/03/07 20:42
週刊BCN 2005年03月07日vol.1079掲載
CMSの拡販を本格化
■メニューや全文検索など、多くの機能を部品化今や企業活動においてウェブは欠かせないツールになっている。多くの企業や政府機関、自治体が情報発信や文書のやり取りにウェブを活用している。しかし、その制作や更新、維持管理には予想以上に手間とコストがかかっているのが実情だ。
個人のウェブでは、日記形式で簡単に制作できるブログが普及し、ウェブ制作がこれまで以上に身近なものになった。もっとも、ブログはウェブ全体の1形式でしかなく、企業などのウェブ全体を支える性格のものではない。これを受けて、企業などでもブログのように簡単で効率良くコンテンツを管理する方法としてソンズが着目したのがコンテンツマネジメントシステム(CMS)である。
ウェブ制作やコンテンツ管理を容易にするだけでなく、他のウェブ上の機能と連携するXMLウェブサービスにも標準で対応した。同社が開発したCMS「アイ-サイトポータル」は、XMLウェブサービスに標準で対応しているマイクロソフトのプラットフォーム「.NETフレームワーク」と同フレームワーク上で機能するウェブ向けの部品セット「ASP.NET」を使っている。このため、XMLウェブサービスになじみやすく、システムの拡張も容易に行える。
「アイ-サイトポータル」は、メニューや全文検索、ユーザー管理、ブログ機能、新着情報など約30種類の機能を持っている。これらの多くは部品化されており、アイ-サイトポータルのプラットフォーム上で、必要な部品を取り付けるだけで目的の機能を実現できる。標準で同梱されている部品で足りなければ、ソンズや開発パートナーが追加部品を開発する体制も整える。
ソンズの鈴木社長は、「ブログの登場で個人ウェブの生産性が上がった。企業や団体などのウェブでもCMSを使って開発や運用の効率を飛躍的に高める時期が来た」と、コンテンツの管理やウェブの各機能の部品化、XMLウェブサービスへの対応などを盛り込んだアイ-サイトポータルの必要性を訴える。
■容易になったコンテンツの更新
アイ-サイトポータルを使えば、手作りのウェブを人手をかけて更新するのに比べ大幅に作業数を軽減できる。操作画面は誰にも分かりやすいよう設計されているため、これまでウェブの更新を外部に委託していた企業でも、社内での更新が可能になる。ウェブ更新の役割分担を決め、担当する部門が自らの担当範囲内のコンテンツを更新することでコストを削減できる。情報システムにおける「分散入力」のように、ウェブも「分散更新」が可能になれば、より迅速にウェブを活用できる。
昨年度(2005年2月期)のアイ-サイトポータルの納入社数は約10社。今年度(06年2月期)は、サービス体系の刷新や販売網の整備、CMSそのものに対する需要の拡大などが見込めることから100本の販売を目指す。販売チャネルは、主にシステムインテグレータやウェブ制作会社の2系統を想定している。
システムインテグレータは、アイ-サイトポータルを使うことで効率良くウェブを立ち上げたり、顧客企業自らコンテンツを更新しやすい環境を作れる。また、提案次第ではXMLウェブサービスを使った連携や基幹業務システムとの連携など、システム構築が発生する部分も少なくない。アイ-サイトポータルに対応した部品を自ら開発し、ウェブの機能を拡張させることもできる。
一方、ウェブ制作会社やウェブ制作を手がける広告代理店、印刷会社などは、アイ-サイトポータルを使うことでウェブの制作効率を飛躍的に高められる。従来のCMSはコンテンツの更新作業を簡略化するため、ウェブのデザインが固定化する傾向があった。アイ-サイトポータルではこの点を大幅に改良。「デザイナーが変更できない箇所はない」(鈴木社長)ほど、細部にわたってデザインを変更できるようにした。
■廉価版の開発や、ASPでの提供も予定
ユーザー管理やブログ機能、新着情報などウェブに必要とされる機能は、あらかじめモジュールとして用意されており、ウェブデザイナーはデザインの制作に集中できる。デザイナーは、プログラマーやシステムエンジニア(SE)などと異なり「プログラミングやシステム設計を習熟していない」(鈴木社長)ことが多いだけに、デザインに集中できる利点は大きい。アイ-サイトポータルは、.NETフレームワーク上で動作するため、マイクロソフトのデータベースSQLサーバーなどとの連携もしやすい。
企業ユーザーから見れば、ビジネスを起こしたいとき、迅速にウェブを立ち上げたり、コンテンツを更新できる。提携先の企業のXMLウェブサービスと連携させるなど、ビジネスを加速させるツールとしても活用できる。ウェブを戦略的に活用することが「ビジネスの迅速化につながる」(同)と、ウェブの効率化が不可欠だと考える。自治体など公共団体のユーザーも、XMLをベースとして記述されたRSSと呼ばれる要約文の公開などにより、従来よりも効率良く情報を発信できる環境が整う。
現在、アイ-サイトポータルは標準的な仕様で約189万円。今後は管理できるウェブのページ数を限定するなどした30-50万円の廉価版「アイ-サイトポータルライト」(仮称)の開発やASP(アプリケーションの期間貸し)サービスなども始める予定。アイ-サイトポータルは高度なウェブにも対応したCMSだが、廉価版やASPサービスを通じて、簡易なウェブの分野でもアイ-サイトポータルのシェアを高めていくことが狙いだ。
ビジネスのスピードが速くなり、これを支えるウェブの生産性も高めなければならない。アイ-サイトポータルは、ウェブの生産性を高め、XMLウェブサービスやブログなどの新しい機能を効率良く活用するツールとして売り込んでいく考え。(協力:.NET ビジネスフォーラム)
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