e-Japanのあした 2005

<e-Japanのあした 2005>23.地方税の電子申告

2005/02/14 16:18

週刊BCN 2005年02月14日vol.1076掲載

 地方税の電子申告が今月から、岐阜県、大阪府、兵庫県、和歌山県、岡山県、佐賀県の6府県で始まった。全国の自治体で組織する地方税電子化協議会(会長・石井正弘氏=岡山県知事)が運営する地方税ポータルシステム「eLTAX(エルタックス)」を利用して、法人都道府県民税と法人事業税の申告手続きからスタート。順次、税項目とサービス提供自治体が拡大され、2007年度末までには47都道府県、13政令指定都市で電子申告・納付が実施される見通しだ。(ジャーナリスト 千葉利宏)

 eLTAXは、都道府県、政令指定都市の60団体の法人事業・住民税などで納税義務者約580万が対象となる大規模なシステム。昨年2月に国税庁のe-Taxが始まったが「国税と地方税を一度に電子化しようという企業も多いので、eLTAXの稼動で電子申告全体の普及が加速するのではないか」と、同協議会の西村義行事務局長も期待する。

 地方税電子化への取り組みは、総務省の主導で00年2月に全国地方税務協議会内に委員会が設置されて本格化。01、02年度の2年間で具体化に向けた検討が進められ、03年7月にシステム基本構想を策定した。翌月に地方税電子化協議会が設立され、10月にはシステム開発委託業者を公募。NTTデータを選定してから、ほぼ1年でシステムを稼動させたことになる。

 最大の特徴は、システムを共同開発し、自治体が共同利用するポータルセンターを設置したことだ。例えば電子入札システムの場合、国が開発したシステムを自治体が個別に購入して導入する方式としたが、自治体にとって費用負担が重く、独自システムを導入した自治体も少なくない。eLTAXでは、複数の自治体で納税義務がある企業などが自治体ごとに手続きするのは不便なことから受付システムを共同化。自治体側に設置する審査システムなども共同開発し、開発費用を約41億円に抑えシステム導入の負担軽減も図った。

 サービスの利用方法は、国税と基本的には同じだが、開始時の手続きが大きく簡素化された。公的個人認証など電子証明書の取得が同様に必要となるが、国税では会社登記簿謄本などを添付して書面で開始届出書を税務署の窓口に提出する必要があり、ID番号などと専用ソフトがCD-ROMで郵送されてくる仕組み。地方税ではeLTAXのホームページにアクセスして必要事項を入力、電子証明書を使って電子署名するだけで窓口に出向く必要がない。利用者IDと仮暗証番号などが郵送され、ホームページから専用ソフト「PCdesk」をダウンロード(希望者にはCD-ROMを郵送)すれば利用できる。

 今回、サービスを開始したのは西日本の6府県、利用できるのも2税の電子申告だけだが、今年8月からは埼玉県、東京都など7都県でも導入する。来年1月には法人市町村民税、固定資産税(償却資産)の電子申告も可能になるため、札幌市など13の政令指定都市でも導入する予定だ。サービス地域の拡大に合わせて、ポータルセンターを東日本地区にも設置して2センター制にすることも検討。電子納付も、07年度までにマルチペイメントネットワーク「ペイジー」を使って利用できるようにする考えだ。

 今後の課題は、電子納税通知書への対応だ。固定資産税などの場合、現行法では自治体が納税額を決定して通知書を送付した時点で納税義務が発生する仕組みとなっている。ポータルセンターの受付システムにはメッセージボックスが設置され、申告の受付通知や電子納税証明書などを利用者がメッセージボックスにアクセスして受け取るようになっているが、この仕組みを電子納税通知書にも適用すべく検討を進めていくことにしている。

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