視点

「IT」は成功企業のキーワード

2005/02/07 16:41

週刊BCN 2005年02月07日vol.1075掲載

 マクロ経済に見られる今回の景気回復は、米国の好調・株高と中国の経済発展、そして国内においては大企業による自助努力の成果、この3つに支えられたものであることは誰しもが認めるところだろう。そして、小泉構造改革の成果では決してないということも。

 大企業の業績回復というのは、その陰の部分に「リストラ」と「コストカット」という暗部が存在している。つまり職を失った人々と、倒産のやむなきに至った下請け中小企業があったという側面である。大企業と中央が栄え、一方で中小と地方が苦しんでいるという構図である。上下の格差が明白になり、下の部分に属する層が今なお呻吟しているということだろう。

 さてしかし、ここはこの問題をさらに論じようというものではない。そんな環境のなかでも頑張って、しかも成功してきている企業の話である。

 私がつとに観察してきているのは、前述の中小企業群である。かつて独自の技術を有し、世界の、アジアのナンバーワン・オンリーワンであった中小企業が、このところ周辺国の低賃金などの攻勢に堪えきれずに衰退の道を余儀なくされていった。

 しかし今その中に、ピカリと光る企業が現れ、目立つようになってきた。それは新興企業に加えて、ここにきて蘇生したといえるグループである。そのような企業の「成功のキーワード」を探ってみると、第1に「IT」である。それに続くものとしては、第2に「独自の新しいアイデア」である(アホかと言われるような、と言ってもよい)。ただしあくまでも「本業のなかで、近辺で」ということが条件である。自分の最も得意なフィールドで強い戦いをするのである。加えて第3、4は、当然ながら実行し継続することである。

 ただ、ここで言う「IT」は、いわゆる「IT企業」のことではない(○○システムズや○○ソリューションという名をもつ企業に限定するものではないということ)。「ITを駆使する(普通の)企業」という意味である。関西IT戦略会議が表彰した企業名には、和菓子の「たねや」や、引越しの「アートコーポレーション」が含まれる。たねやは在庫把握・発注システム・ネット販売にITを徹底活用し、引越しのアートは法人顧客との情報共有とその事務作業を効率化したと聞く。業種にかかわらず、「IT活用」がキーワードであることに間違いなさそうだ。
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