大遊泳時代

<大遊泳時代>第55回 あかり安心サービス

2005/02/07 16:18

週刊BCN 2005年02月07日vol.1075掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 昔から、秋も深くなると夜が長くなり、ジングルベルの歌と共に照明機器の拡売期となった。ところで、昔からランプは切れたらつけ替えるもの、というユーザーの思い込みがある。本当のお勧めは、数年に1回、ランプは切れても、切れてなくても、全てまとめて取り替えた方が良い。手間・明るさの効率を考えると、これが一番良いのである。

 一方、省エネで会社や工場で人のいない時にOFF節電するのは良いが、人がいるのにランプを間引きしているのは、あまりにも省コスト優先で本末転倒である。

 ところで、これまで工場、ビル、スーパー、電車などは1拠点で1000─2万本を使用しており、切れるごとに取り替えていては手間がたいへん。従って、2年に1回とかで全社入れ替えなどのメンテナンス契約がある。

 ここで最近問題となるのが、廃棄物処理法であり、産業廃棄物である。ユーザーが同時に排出業者として適正処理を問われる。

 こんな時、松下電器がしている「あかり安心サービス」を知った。これはユーザーがハードを買うのではなく、「明かり」という効用を買う契約で、ランプそのものはサービス会社、電気店の所有のまま。従って排出責任はサービス会社が持ち、委託業者を経由して、リサイクルにまわす。しかも、その処理状況はウェブで確認できるので安心。

 このサービスを利用すると企業の環境姿勢が評価され、管理コストも削減できる。すでに数百社、1000近い事業場で採用され、総本数は数百万本という。

 近い将来、IT化が進めば、現場の1本1本も群管理でリモート管理をして、SCM(サプライチェーンマネジメント)を導入すれば、さらに便利になりコストダウンもできるだろう。

 ねえ、ワトソン君よ!「これはハードメンテのエコシステムで、すばらしいビジネスモデルだね」。「いや、ランプで良かったですよ。いずれ社員の人間さまもこんな扱いとなるのではないですか?」。
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