未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>13.ソリトンシステムズ
2005/01/31 20:43
週刊BCN 2005年01月31日vol.1074掲載
セキュリティ分野で中国市場へ
ソリトンシステムズ(鎌田信夫社長)は、LSI設計ツールの販売からシステム構築、セキュリティ製品の開発・販売など、事業領域は広い。システム構築事業を展開する場合、ソフトメーカーの製品を調達してシステムを組むベンダーが多い。しかしソリトンシステムズは、セキュリティを中心としたネットワーク関連ソフトに関しては自社開発にこだわり続けている。セキュリティ製品は特にラインアップが豊富だ。ログ管理、IT資産管理、アクセス認証など6ジャンルのセキュリティソフトをすべて自社開発で揃えている。セキュリティ専門のソフトメーカーでも、ここまで幅広いジャンルの製品群を自社開発する企業は少ない。
まだセキュリティニーズが顕在化していなかった1996年からセキュリティ関連ソフトの開発に着手。40-50人のソフト開発者で開発を進めている。「たとえ売れなくても我慢して開発を続けてきた実績と、自社開発の面白さから開発者のモチベーションを維持でき離職率が低いことで優秀な開発者が残っている。これが、幅広い製品群を開発・サポートできる裏付け」と山崎孝昭・開発部部長は話す。
しかし、最近ではセキュリティに対するニーズが高まり、ラインアップをさらに増やす必要性と、1つのパッケージソフトに組み込む機能も増加したことで、「人材不足は悩みのタネとなっている」(山崎部長)。そこで、今年度(05年3月期)から中国人開発者の活用、オフショア開発を始めた。
中国・上海市の現地法人に、約20人のソフト開発者を確保。ICカードでパソコンのログイン/ログアウトを行うパッケージソフトの開発をまずは始めている。早ければ、2月末にも日本市場での販売を開始する。そのほか、数種類のソフトも同時進行で開発が進んでいる。山崎部長は、「コスト削減の狙いもあるが、優秀な技術者を確保できたことがメリットとして大きい」としており、来年度には中国人開発者の数を現在の2倍に増やしたい考えだ。
来年度からは開発拠点として活用するだけでなく、中国語版を開発し、中国市場で販売事業も始める。「自社開発している以上、日本市場だけでなく世界をターゲットに販売したい。中国市場は最初の第一歩」(山崎部長)と、将来的には米国などでの販売も視野に入れている。
世界で売れる日本のソフトが少ないなか、自社開発にこだわり続けたセキュリティ分野で、世界市場に参入する意向だ。(木村剛士)
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