コンテンツビジネス新潮流

<コンテンツビジネス新潮流>12.パチンコとコンテンツビジネス

2005/01/24 16:18

週刊BCN 2005年01月24日vol.1073掲載

 ビジネスソフトメーカーとゲームソフトメーカーで設立されたACCSの会員は、現在、かつての枠にとらわれない様々なジャンルの著作権者が増えてきている。  現在、そうした会員の中で異色の存在といえば、サミー、SANKYO、平和などのパチンコメーカーだろう。(久保田 裕 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)専務理事)

 全日本遊技事業協同組合連合会によると、2003年末現在、パチンコ店舗数は全国に1万6076店、パチンコ台は322万7239台設置されている。

 パチンコ店は、最近遊んだことがある人ならお分かりだろうが、昔とは大きく様変わりした遊技場である。巷間言われるように女性客の取り込みを意識してか、明るく清潔な店舗が増えてきている。

 「レジャー白書2004」(社会経済生産性本部)によると、ギャンブル性が高いパチスロ台が増加しパチンコ台の半数を超えたのに対し、一般のパチンコを楽しむユーザー数は減少傾向にあるという。パチンコ店の数もピークだった95年末の1万8244店から約12%も減少した。

 それでも、パチンコ人口は1740万人いる。趣味としてパソコンを使う4510万人の4割程度だが、ゴルフ(1080万人)や釣り(1470万人)より多い。パチンコ台生産なども含めた市場規模は30兆円を超えている。ちなみにゲームユーザーは3060万人とされている。

 ACCSとして見たとき、パチンコ台に表示されるコンテンツ、すなわち様々なキャラクターの著作権や商標、また、使用される音楽の利用には興味がある。

 パチンコ台メーカーは、マンガなどのキャラクターをパチンコに使用する権利獲得に熱心でもあるようだ。

 実際、今のパチンコ台は液晶ディスプレイが埋め込まれ、テレビゲームの画面かと見間違うほどである。

 「新世紀エヴァンゲリオン」や「ピンクパンサー」など著名なキャラクターと、「きよしのズンドコ節」や「宇宙戦艦ヤマト」のテーマなどの音楽で楽しめるのである。

 ACCSには、漫画家の松本零士氏が代表の零時社も加盟しており、松本氏は理事でもある。松本先生の代表作である「大ヤマト」を使用したパチンコ台もある。余談だが、年末にはこの台で遊んで楽しませてもらった。

 社会の中にあって様々な問題が指摘されるパチンコではあるが、新しいコンテンツビジネスであるのは間違いない。今後も、興味を持って見ていきたいと思っている。
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