未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>11.システムアドバンス
2005/01/17 20:43
週刊BCN 2005年01月17日vol.1072掲載
ニッチな分野で勝負
IT関連ベンチャー企業のなかで、ソフト開発・販売をメインビジネスに据える企業は減っているという。最近のIT系ベンチャーの多くは、インターネット関連サービスを手がけており、ソフトを一から自社開発し販売まで手がける純粋なソフトメーカーは減少している。そのため、輸入超過が止まらないのが今の日本のソフト産業の現状だ。自社開発にこだわるソフトベンチャーにとって、研究開発費用の捻出と、販売チャネルの構築をどのように進めていくかが大きな問題だ。
岐阜県大垣市に本社を置くシステムアドバンス(宇野博幸社長)は、2000年設立のITベンチャー。自社開発ソフトにこだわり、開発から販売、サポートまで一貫して手がける。
商品の柱は、人工透析支援ソフト。医療機関向けのニッチな製品だが、慢性腎不全の患者に必要な人工透析関連の資料を電子化、容易に閲覧・管理できる。このソフトを利用すれば、迅速な透析を実現できるという。約3年の開発期間をかけて、昨年ようやく販売に漕ぎ着けた。ニッチなソフトでもあり、価格は500万円からと高額。大規模なシステムだけに多額の研究開発費用を必要とした。
医療機関向けのシステム構築に携わっていた経験がある宇野社長は、「医療機関では、基幹システムは整備されているものの、医者が実際の治療で使うためのIT製品・サービスは手薄。大手企業も入っていない」と、開発を決意した経緯を説明する。
システムアドバンスは起業当時からソフト産業の育成拠点ソフトピアジャパン(岐阜県大垣市)の支援を受けて事業運営している。ソフトピアジャパンのインキュベーション施設を利用し、オフィスの固定費を削減。その分を研究開発費に回した。そのほか、共同開発費として支援金を得る制度も利用した。
宇野社長は、「ソフトピアジャパンの支援がなければ開発を完了させることはできなかった」と振り返る。
研究開発だけでなく、販売チャネルの構築という面から見ても、「東京や大阪などの主要商圏のITベンダーと話ができる場を活用できるので、販売パートナーを探し出すのに役立っている」(宇野社長)という。近く首都圏の大手ITベンダーとパートナー契約を交わす予定だ。
宇野社長は、「地方のITベンチャーは単独で勝負してもかなわない。大手が入っていないジャンルを見つけ、さまざまな支援制度や支援拠点を活用することで、ビジネス拡大のための道は大きく広がる」と話している。(木村剛士)
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