IT Stock Frontline

IPO人気は今年も続く 取引所の企業誘致も拍車

2005/01/17 16:04

週刊BCN 2005年01月17日vol.1072掲載

昨年並みの高水準との見方も

 株式市場では今年もIPO(株式新規公開)が話題を集めそうだ。

 昨年のIPO会社数は175社と2003年(121社)から大きく増加、過去3番目の高水準となった。ベンチャー企業の株式公開意欲は強いうえ、好パフォーマンスを背景に個人投資家の資金がIPOマーケットに安定して流入している。IPO間もない企業の粉飾決算が昨年明るみに出たことで、各証券取引所による審査強が企業数を抑制するとの見方もある。しかし、一方では証券取引所間の企業誘致競争が続いていることから、IPOの企業数は昨年並みの高水準に達するとみられる。

 今年のIPO第1号は米国カリフォルニア州に本社を置くバイオベンチャーのメディシノバ(2月8日に大証ヘラクレス)。本国に上場しない企業が上場するのは初めてのケース。昨年の中国系企業の上場を皮切りに海外企業の上場が本格化しそうなこともIPO企業数の増加につながりそうだ。

 今年IPOが観測される大物企業はIT関連ではニフティ。業種を広げると、博報堂DY、ジュピターテレコム、FM東京、東京証券取引所といった名前が挙がっている。

 IPO人気の背景にあるのは好パフォーマンスだが、実際に昨年上場した175社のうち初値が公募価格を下回ったのはわずか7社にすぎなかった。IPO銘柄は一般投資家は情報が入手しづらいため、類似企業と比較するとディスカウントされた公募価格が幹事証券から提示されるケースが多い。つまり、IPO銘柄への投資で最も効率が高いのは上場前のブックビルディング(投資家の需要を把握する)期間に公募株を申し込んで手に入れること。しかし、IPO人気が高まった昨年は公募株を手にいれるための抽選倍率が数十倍、数百倍に達することも珍しくなくなっている。(有賀勝久)
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