大遊泳時代

<大遊泳時代>第45回 大人と子供の間に「線を引く」

2004/11/22 16:18

週刊BCN 2004年11月22日vol.1065掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 「出会い系サイト規制法」ができたり、全国カラオケ事業者協会でもボックスの自主規制を積極化したり、自治体も街角のIPカメラを増やし、環境は良くなりつつあると思っていた。しかし、マスコミ報道では一向に凶悪犯罪がなくならない。それどころか、バトルロワイヤルまがいの少年少女の犯罪、信じられない親の子供への虐待、そして見知らぬ人を石ころの如く殺していく犯罪、少々うんざりと同時に慣れがきたのが余計心配である。

 ゲームのやり過ぎか、テレビの見せ過ぎか、子供にへりくだり過ぎか、何も昔が良かったとは言えないが、大人にビシバシとした所がなくなったのは事実。特に学校の先生が子供と友達感覚なのがいけないし、親もビシバシの先生をもっと支持し、尊敬しなくてはいけない。

 童話の本をじっくり読む、童謡の良い歌を愉しむ──今は老話、老謡といって、老人ホームのものとなってしまったとか。寂しい限りである。

 どうもすぐにAV(音響・映像)─IT化のせいにしがちだが、根本は大人、親、先生の責任と自覚と行動である。

 大阪市の大平光代助役が、「大人と子供の間に線を引くことが大切」。遊び場も、時間の過ごし方も、考え方も違うはず。ボーダーレスがいけない。北海道大学の山下範久助教授が「なぜ」という問答が減り、やれVチップだ、IPカメラだ、条例だと格好つけで解決を急ぐのがいけない。

 AV─ITは単なるツールである。薬にも毒にもなる。ちと耳の痛いことだが、最近良い本がみつかった。「親と子のインターネット&ケータイ安心教室」──早速買って愛息にも送った。わが家のネット7か条…など実に役に立つ。

 ねえ、ワトソン君よ!「子供のことといっても、我々もいつか来た道だからね」。「何を甘いことを言ってるのですか。今は、道は道でも人の道を外れていることが多いですよ」とのこと。反省!!
  • 1