視点

中国携帯ビジネスとコンテンツ

2004/11/08 16:41

週刊BCN 2004年11月08日vol.1063掲載

 11月1日から携帯電話を手にしながらの自動車運転が、違反として罰せられるようになった。かねてよりの問題にようやく法規制が加えられたわけだが、このほど中国・上海を訪れてみて、「このままで大丈夫か」と他国のことながら同様の心配を抱いた。経済化の進展とともに自動車が飽和状態となり、その運転のすごいこと。隙あらばわずかなスペースにもクラクションを鳴らしながら割り込んで来るし、かといって遠慮していては行きたい場所にもたどり着けないという。

 そこに携帯電話の普及、である。現在、中国の携帯電話利用者は3億人にも上るとされるが、主流の第2-2.5世代携帯電話に加え、新たに安価なPHSサービスも始まり、ここ1年ほどの間にさらに激しい勢いで利用が増えている。上海ではすでに大半の人が携帯電話やPHSを所持するようになり、市場争いの舞台は内陸部へと広がり始めているという。

 こうした中国市場で、日本の携帯電話メーカーが苦戦している。ブランド志向が強い中国にあって、高級機では韓国サムスン電子、普及機では欧州ノキア、フィリップス、シーメンス、米国モトローラなどの人気が高く、低価格機では地元メーカーが勢力を伸ばしているという。昨年秋、ある日系企業がカメラ付き端末を商品化し、一時は人気を博したが、半年後には早くも地元メーカーが追随し、一気に価格が急落。今では100万画素を超えるモデルでないと振り向きもされないそうだ。

 今、中国では第3世代携帯電話を巡り、メーカー各社がしのぎを削っている。来年夏にも通信事業者に対しサービスライセンスが付与され、ビジネスが本格化すると見られるなか、規格争いで日・欧方式の「W-CDMA」、北米方式の「cdma2000」、中国独自の「TD-SCDMA」による三つ巴の戦いが繰り広げられている。もちろん、日系メーカーとしてはW-CDMAが主流になることを願うばかりだ。

 ただ、仮にW-CDMAが主導権を握れたとしても、現在50社余りいるといわれるメーカー間競争を勝ち抜くのは並大抵ではない。ハード、ソフトによる差別化はもちろん、コンテンツにも目を向けておく必要があるだろう。iモードを機に日本でさまざまな携帯向けコンテンツが登場し“ウェブ文化”が花開いたように、中国でも今後コンテンツは大きな差別化要因になると見られる。コンテンツ側からの仕掛けこそ、日本が最も得意とするところでもある。
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