コンテンツビジネス新潮流

<コンテンツビジネス新潮流>2.コンテンツ自動販売機「デジらく」(2)

2004/11/08 16:18

週刊BCN 2004年11月08日vol.1063掲載

 新しく設置が始まったコンテンツ自動販売機「デジらく」の特徴は、著作権と情報管理に留意し、ユーザーの個人情報には踏み込まないという姿勢にある。まず、このためにどのような仕組みを採用したのかを説明しよう。(久保田 裕 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)専務理事)

 「デジらく」で書き込むCD-Rに対しては、コピーガードを施す。また、コンテンツを利用する際の台数や日数、回数などを制限するDRM(デジタル著作権管理)技術も併用できる。

 1台の「デジらく」に入れられるコンテンツは、約2000タイトルで営業を開始し、最終的に1万タイトルになるとしている。

 これらのコンテンツは、1.5テラバイトの容量を持つハードディスクに保存され、原則として月に1度程度、タイトルの追加と見直しを行う。

 今秋の営業開始後、年内に約1000台が設置される予定で、つまり来年以降、デジタルコンテンツが蓄積された1.5テラバイトのハードディスクのコンテンツを少なくとも1000台、毎月更新しなければならない。

 「デジらく」はギガビット・イーサネットに対応し1000BASE-Tのポートを備え、仕様上はネットワーク経由で更新することができる。

 しかし、現実には、1000BASE-Tは利用せず、ハードディスクごと取り替える。これは、「デジらく」設置店舗に回線を引き込む時間とコスト、さらにコンテンツ配信サーバーを省くとともに、ダウンロード中に事故が起こるリスクを回避するためだとしている。

 さらに、ハードディスクの交換は提携した専門業者が行い、設置店の店員でさえタッチできない。デジタル経路上の盗難が起きないようネットワークを使わず、物理的な盗難も起きないようセキュリティが施されているわけだ。

 つまり、デジタルコンテンツの情報管理は、昔ながらのアナログな方法に依るのである。

 一方、これを利用するユーザーは、現金を投入してコンテンツを購入する。

 インターネット上のクレジットカード決済に不安を持つユーザーは多い。「デジらく」ではユーザー登録なども不要で、購入に際して個人情報を出さなくて済む。

 さらに、「デジらく」から現金でIDとパスワードだけ受け取り、コンテンツは指定されたサイトからダウンロードするといった仕組みも利用できる。

 著作権管理と個人情報保護。これらに留意し、アナログな仕組みでデジタルを扱う。セキュリティを考え、敢えてオフラインにした発想が面白い。
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