大遊泳時代

<大遊泳時代>第42回 デジタル景気に沸くAV─IT業界はこの世の春?

2004/11/01 16:18

週刊BCN 2004年11月01日vol.1062掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 デジタル新3種の神器がまたまた一皮剥けて「CEATEC2004」で揃い踏み。65V型の液晶・プラズマテレビは、もう只々キレイ!すごい!SED(表面電界ディスプレイ)も噂にたがわず素晴らしい。また有機EL(エレクトロルミネセンス)あり、3Dありで、モノ作り日本の面目躍如。だが、こんなにいろいろ出てくると、来年になっての供給過剰と価格破壊がチト怖い。そして技術の淘汰も避けられない。

 DVDレコーダーにとうとうハイビジョンが登場。テレビがこれだけ高精細大画面化すると、今までのDVDじゃ物足りない。もっと高画質が欲しい!しかし、Blu─Ray、HD DVDとなんで2つも規格が?やっぱり、この業界はデファクト競争が避けられないらしい。

 6CHチューナーとテラバイト級HDD(ハードディスク)で、1週間以上のテレビ番組をマル取りという、とんでもないつわものも登場。イヤハヤ凄い時代になったもんだ。

 普及頭打ちのデジタルカメラも頑張っている。パナソニックは500メガピクセルに、2・5型大画面液晶、手振れ補正で、人気ランキングトップになったという。もう順位は固定しない。

 これだけ見ると、デジタル景気に沸くAV─IT業界は、この世の春にみえるが、ニューズウイーク誌によると、営業利益トップ100社に入る日本のITメーカーはなんとキヤノン1社だけ。しかも、ブラウン管のアナログテレビがフラットパネルのDテレビへ、VHSがDVDレコーダーへ、銀塩カメラがデジカメへの、アナ・デジ置き換えだけのデジタル家電は、AV業界の上乗せ拡大となっていない。

 さらに利益率を上げるには、IT技術でモノ+サービスの新規市場を創り、ハード利益を押し上げる仕掛けがいる。

 ねえ、ワトソン君よ!「前にも話したが、スマイルカーブはやはりジャンプ台カーブかな?」。「だから、モノ+サービスで思い切りジャンプするのですよ!」。
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