“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>75(最終回).東京システムハウス

2004/10/25 20:43

週刊BCN 2004年10月25日vol.1061掲載

 東京システムハウス(髙橋勝也社長)のレガシーマイグレーション事業が順調に拡大している。来年度(2005年10月期)は同事業の売り上げを前年度比1.5倍に拡大することを目指す。メインフレームのオープン化の案件が増え、案件あたりの受注規模が拡大していることに加え、市町村合併や電子自治体構築にともなう新規受注も期待できることから増収を見込んでいる。

COBOL資産を継承

 メインフレームのオープン化は、ERP(統合基幹業務システム)パッケージに置き換えたり、プログラムをJavaなどの言語で書き直したりする手法がある。だが、東京システムハウスでは、こうした手法を提案することなく、主にメインフレームで動作しているCOBOL言語で書かれた業務アプリケーションを、現在主流のオープン環境に対応する「ACUCOBOL(アキュコボル)」に変換・移行する提案方法で受注を伸ばしている。

 ERPパッケージを導入すると、ときに大幅な業務改革を断行する必要があり、しかもシステムをゼロから作り直すと膨大なコストがかかる。このためメインフレームで頻繁に使われてきたCOBOLによる業務アプリケーション資産を継承しつつ、現在主流となっているJ2EEや.NETなど最新式のオープンプラットフォームとの連携を可能にする「ACUCOBOLへの引き合いが増えている」(林知之・取締役システムパッケージ事業部事業部長)と、過去の資産の継承によるコスト軽減が顧客企業の経営者に受け入れられていると話す。

 ACUCOBOLは、米アキュコープの製品で、東京システムハウスは95年から国内販売を開始。これまでにオフコンユーザーを中心に全国1500社あまりに納入してきた。02年からACUCOBOLを使ったメインフレームのレガシーマイグレーション事業を本格化。商談規模が大きいメインフレーム案件が順調に増えていることから、来年度は同事業で1.5倍の売上増を見込む。

 また、市町村合併のタイミングでメインフレームをオープン化する自治体が増えており、「公共案件の獲得にも力を入れる」(同)と、民需だけでなく自治体の案件も積極的に受注していく方針。来年度の全社の売上高は前年度比約16%増の29億円を見込んでいるが、このうちおよそ3分の1はACUCOBOL関連のビジネスで稼ぎ出す見通しであるなど、レガシーマイグレーションが収益の重要な部分を占めている。(安藤章司)
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