視点

ここまできたパソコン利用

2004/10/18 16:41

週刊BCN 2004年10月18日vol.1060掲載

 ケータイを持ってないし、いまのところ持つ気もない。テレビがなくてもラジオさえあれば、かえって充実した暮らしが送れるのと同じ伝だと思い込んでいる。もっとも、時代というか流行に遅れてしまうのではないかという一抹の不安がないでもなかった。というのも、友人のイラストレータに教わった「双葉チャンネル」や、十番碁を打っている国東半島の碁敵のウェブサイトを垣間見ると、世間はどんどん進んでいるとの感がぬぐえないからだ。

 ところで、9月下旬の連休に、碁敵の無料BBS掲示板が2日間にわたって利用不能になった。プロバイダのサーバーがまるまる2日落ちたのが原因だ。サイトを覗くと、185通の苦情が寄せられていた。その類のウイルスはなかったから、連休で担当者がフケていたにちがいない。プロバイダからは、案の定、木で鼻をくくった通達しかなかったのはお察しのとおり。

 十番碁を中断されたステークホルダー(利害関係者)として、参考になった知見が2つある。1つは、「無料のBBS掲示板」の評価情報が、ただちに被害者に伝わったことだ。300近くある無料掲示板の評価サイトが紹介された。30以上ある無料機械翻訳サイトの評価情報サイトがあるのを知ったのも余禄だった。もう1つは、「双葉チャンネル」、あるいはその類のサイトの出現である。我が田に水を引くような話をすると、特に中高年のケータイやパソコン利用のサイトの多様性には驚かされる。琴棋書画だけではない。薔薇もあれば、茸もあれば、蝶もあれば、虫もある。なんでもありのようだ。

 粗悪肥大なパソコンソフトに、パソコンマーケットがなびいている歪な現状に曙光がみえてきたようだ。米国の寡占ないし独占企業の粗悪製品に、マスコミがなびく、国産メーカーがなびく、やむを得ず販社がなびく、遅ればせながら役人がなびく、とどのつまりは、しかたなく利用者がなびくという構図はここ半世紀変わってこなかった。この構図に対する改革の兆しが、ウェブ利用者から生まれてきそうだ。まずは、無料掲示板やパソコンをとてもうまく利用し始めた利用者に期待したいところである。十番碁の碁敵と双葉チャンネルを紹介してくれた友人に深謝したい。
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