e-Japanのあした 2005
<e-Japanのあした 2005>7.ITSセカンドステージへ
2004/10/18 16:18
週刊BCN 2004年10月18日vol.1060掲載

今月8日に開かれた第2回会合で「ITS推進の指針(案)」が事務局から示されて採択、ITS世界会議の場で正式発表されることになった。指針の主な内容は、カーナビ累計台数約1500万台、道路交通情報通信システム(VICS)約1000万台、自動料金支払いシステム(ETC)370万台に達している現状を紹介し、ITS機器の普及に向けたファーストステージは目覚しい成果を上げたと評価。今後は、実用・普及とその促進化に向けたセカンドステージに入るとの認識を示す。
ITSによってめざす社会像は「安全・安心な社会の実現」、「環境にやさしく効率的な社会の実現」、「利便性が高く快適な社会の実現」の3つを挙げ、今後おおむね5年をめどに、(1)道路交通の安全性向上、(2)交通の円滑化・環境負荷の軽減、(3)個人の利便性向上、(4)地域の活性化、(5)共通基盤の整備と国際標準化・国際基準の策定等の推進──の5つの総合的テーマに重点的に取り組む必要性を指摘している。
「誰が、この指針を進めていくのか。主語がない」(吉野日本経団連副会長)──。今回の指針とりまとめの議論では、厳しい意見も出された。会議はあくまでもボランタリーな性格のもので、指針の内容を実現していく主体がはっきりしていないからだ。政府では、96年に関係省庁による「ITS推進に関する全体構想」が策定したほか、e-Japan重点計画のなかでも関連施策が盛り込まれているが、これまでは関係省庁がそれぞれ独自の取り組みをバラバラに進めてきたとの印象は否めない。
e-Japan戦略IIは先導的7分野(医療、食、生活、中小企業金融、知、就労・労働、行政サービス)で積極的なIT利活用推進を打ち出しているが、「ITSも先導的7分野と並べてもおかしくないほど大きく重要なテーマ」(坂内委員長)である。指針には「目的を共有する関係者が横断的に連携を図る場の形成と、実行段階における効率的かつ柔軟で、足並みの揃った役割分担が強く求められる」と明記された。ITSセカンドステージに向けた体制づくりは“待ったなし”となっている。
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