大遊泳時代

<大遊泳時代>第39回 AV─IT化で車がSOCOに!!

2004/10/11 16:18

週刊BCN 2004年10月11日vol.1059掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 久しぶりに車で遠出をした時、とっぷり暮れた高速道路のとあるサービスエリアで、ぎっしり居並ぶどの車も、運転席・助手席がボーと明るい。よく見ると、みんなカーナビでテレビを鑑賞(?)中。カーナビは、テレビやビデオで使われる時間の方が長いという皮肉なデータもある。「家庭用テレビは我々の物」と放送事業者は言い張るが、テレビもゲーム、レンタルビデオ、ホームカラオケ、テレビインターネットとどんどん画面が奪われている。

 一方、カーナビの多機能化もすさまじい。これもケータイが、通話からメール、インターネット、デジカメ、着うた、カラオケ、赤外線リモコン、2次元バーコード、果ては電子・認証、チケット、マネー、交通パスといった電子バリューまで機能肥大し、いまや必携のモバイル機器になったのに似ている。CD-ROMカーナビ、そして、DVD/HDD、リアカメラ、松下の「ストラーダ」に至ってはSDカードまで搭載、AV-IT融合で、GPSナビ・VICSなどITS(高度道路交通システム)、今後は1Segデジタル放送、モバイル放送と、車内のキーステーションの道をひた走り。ホームシアターならぬ5.1サラウンドのカーシアターももう驚かない。

 さらに、自動車メーカー主導のG-BOOK、カーウイングス、インターナビなどや、市販のエアーナビなど、双方向通信機能を搭載したテレマティクスは、様々なサービスを満載。鳴り物入りで登場したが、一部を除いて、使い勝手が悪いだの、通信速度が遅いだの、コストが高いだの、そもそも車でなぜショッピングの声? とはいえ、ネットワークとの結合はAV-IT融合の行きつく所である。カーメーカー主導の垂直統合が勝つか、カーナビメーカー市販品の機能積み上げが勝つか、決め手はサービスの消費者ウォンツとのマッチングであることに変わりはない。ワトソン君!!「車がこんなに進化してしまうと、とても運転などしているヒマがないのでは?」。「そうですね。車もSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)ならぬSOCO(スモールオフィス・カーオフィス)化しますね」。
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