China 2004→2008
<China 2004→2008>21.組み込み技術の移転始まる
2004/10/04 16:18
週刊BCN 2004年10月04日vol.1058掲載
活況を呈し始めた日本の製造業をけん引するのは、デジタル機器。モノづくりと半導体技術、ソフト技術のすり合わせで急速な機能進化を遂げる。「最新の携帯電話機は、基盤技術が変更になると1000人規模のソフト技術者が開発に参加する。デジタルテレビでも100人規模がかかわる。電子化が進む車では、1車種当たりのソフト開発量が10年前の数千倍になっている」(開発ツールベンダー)。
今後の製造業は、半導体とソフトを一体にした組み込みシステムの技術力抜きには語れない。この分野は、日本が最も得意とするところで世界をリードする。そして、中国も組み込みシステムの技術力を強化する必要性を深く認識している。今でこそ「世界の工場」として、我が世の春を謳歌している中国製造業だが、そのポジションは保証されているわけでない。世界中から直接投資が集まっている今のうち、製造業を高度化する必要がある。世界市場で通用する先端のデジタル機器や自動車を創り出すには、組み込みシステム技術が必要不可欠となるのだ。
つまり、中国は「日本の技術が喉から手が出るほど欲しい」状況である。技術力向上の第1歩は模倣するところから始まる。白モノ家電などで使われる難易度の低い組み込みシステムについては、「日本から中国への技術移転が完了した」と言われる。そして、刻々と機能が進化するデジタル家電向けの組み込みシステムについても、日本から中国へ技術が流れ始めた。
例えば、国内向け携帯電話機でも最近、ソフト開発の一部が中国で行われるケースが増えている。「今のところアプリケーション中心だが、そのうちコアとなるプロセッサやOSにかかわる部分も任せるようになるはず」(ソフト開発会社)。国内ソフト産業からすれば、これは憂う状況だが、止めようがない部分もある。どちらにしても、機器メーカーが消費市場としての中国に出ていく場合、現地での開発・生産が起こり、その過程で技術は移転していく。
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