China 2004→2008

<China 2004→2008>20.IYがシステム刷新で中国活用

2004/09/27 16:18

週刊BCN 2004年09月27日vol.1057掲載

 前号では、中国がソフト産業を育成するために3つの重点施策を推進していると述べた。その1つがオフショア開発の受け入れや技術者の海外派遣である。この分野で成功しているインドに追い付け追い越せというわけだ。中国は2000年、「ソフト産業を促進する諸政策」という5か年計画をぶち上げた。それによると05年までにソフト産業の規模を300億ドルに引き上げ、そのうち50億ドルを輸出で稼ぐ計画を掲げている。インドのソフト産業の輸出額は現在、100億ドル超。その半分を目指すというわけだ。(坂口正憲(ジャーナリスト))

 実際、7月に中国で開催された「ソフト・情報サービス国際協力サミット」で、中国政府高官は「05年でソフト産業の売上高は295億ドル、そのなかで輸出額が50億ドルに達する」との見通しを述べている。当初計画と05年見通しの数字が見事に“合致”する。そこには希望的観測が多分に含まれているのかもしれないが、輸出額が伸びているのは確かだろう。その背景には、日本企業のオフショア開発が増えているという事情がある。

 日本のIT業界で現在、最も注目されているプロジェクトと言えば、イトーヨーカ堂(IY)グループのシステム刷新だろう。セブン・イレブンを含むIYグループ6社で共通システム基盤を構築し、最適化を図るという。IYグループ規模の企業としては、過去に例がないほどの挑戦である。同プロジェクトには、もう1つの特徴がある。中国でのオフショア開発を本格的に採用している点だ。当初の積算では500億円以上だったコストを300億円に圧縮する計画。これを実現するのが“中国活用”なのだ。

 関係者によると、中国側では、大連市に本拠を置く大連華信計算機技術(DHC)などが、同プロジェクトのオフショア開発を大々的に請け負っている。96年設立のDHCは、日本企業からのオフショア開発で急成長しており、従業員は1000人を超える。NECや日立製作所との関係も深い。IYグループといえば、国内企業の中でも情報化に最も熱心で、先進的な取り組みを行ってきた企業だ。そこが、中国でのオフショア開発を本格的に採用する。日中双方のソフト産業にとって、その意味するところは小さくない。
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