大遊泳時代
<大遊泳時代>第36回 カーナビとカラオケのルーツは同じ8トラック
2004/09/20 16:18
週刊BCN 2004年09月20日vol.1056掲載
松下電器産業 役員 前川洋一郎
今や電子の箱といわれる車のユーザーの大半は、カーナビを希望とのこと。さて、車載機器は、昭和38年8トラックカーステレオが昭和45年カセット式に、昭和60年代にはCDカーステからGPS、そしてCD-ROM、DVDカーナビと変遷。今やHDD(ハードディスク)、それも通信用、AV(音響・映像)用を使い分ける30+30GBのツインHDD型、さらにSDカードとメモリ競争も止まらない。2002年、自動車向け双方向通信サービス「カーテレマティックス」が加わって、オンデマンドサービスも可能、渋滞予測からカラオケまで楽しめるようになった。まさにAV・IT一体型ナビで、今後価格が10万円台になれば、第2のデジタル家電ブームの柱と期待される。一方、昭和40年代に8トラがムー大陸のように突如姿を消したと思ったら、残った8トラの生産設備を活用して、突然カラオケが生まれた。唄好きの国民性、エコー、頭出し、キーコンとお客様ニーズをくすぐり、瞬く間にカラオケ新大陸が誕生した。その後、8トラ/カセット、CDを経て1982年よりLD/VHDのディスク時代、そこへオートチェンジャーや集中管理システムがバブル崩壊後の空コンテナ、空マンションに省スペース、省人化で進出。MIDIとISDNに助けられてカラオケBOXというデイ市場ができた。そしてパソコン配信に始まった着メロ・着カラは携帯で大ヒット。その上、子供用にマイクをテレビにつないでのホームカラオケが流行。車内でも街中でも家のテレビでもユビキタスカラオケとなってきた。
ニーズ追求の技術者魂、マーケット掘り起こしの起業家精神。いずれも日本人の本性を見る思いである。今、SDカードを使うカーテレマティックスのカラオケやネット配信のマイクカラオケをみると、ユビキタスのカラオケ大陸が誕生したようで面白い。ワトソン君よ!!「結論、カラオケとカーナビは同じルーツだね」。「だから唄の上手さと運転の上手さは相関するのですよ」──と嫌味を言われた。
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