大遊泳時代

<大遊泳時代>第34回 大型ディスプレイが欲しい電子セリ市場

2004/09/06 16:18

週刊BCN 2004年09月06日vol.1054掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 東京・大田の花き中央卸市場は、1990年、日本で最初に導入したという電子セリが7時30分よりスタート。業者がオークションカードで所属を登録。大きな電子掲示板の値下がりを見て、欲しい価格になるとボタンを押す。IT化で数字はオープン、記録は完全保存、誰でも参加簡単で、スピーディな公正取引になったという。その昔は、手指の形を変えて注文する「手ゼリ(指セリ)」で入札。その落札は業界用語の「ふちょう(口調)」で見ていない人にも徹底する。1.ちょん(ぴん)、2.ぶり(べん)、3.やみ(げた)、4.だり、5.がれん(めのじ)、6.ろんじ(ほう)、7.せえなん(せいなん)、8.ばんど、9.がけ(きわ)で、1200円ならチョンブリという。これは素人を排除するクローズド市場を意味している。

 大阪の「なにわ花いちば」の大西専務の話では、大体関東は口調でせるから、セリ台は業者の真中で、左右両方の声が聞き易いようにし、関西は手ゼリだから、セリ台は最前列で見えやすいようにしてあるという。青果や魚は上げゼリ方式だから、時間無制限となり電子式にするのは無理で、今も手ゼリという。電子セリとなって誰でも参加しやすくなり、地方卸も東・大に参加し、産地も東・大に出品して、中央集中の弊害が出ている。だからウェブで事前公開し、地方からも買える仕組みも作っている。さらに卸、仲買、小売りみんな参加しての1物1価となり中抜き現象が始まっているという。

 ところで大きな会場は、花が双眼鏡でもよく見えない。品質保証と入札意欲喚起のためにも、全セリ台の上に大型HD、PDPディスプレイを設置して欲しいものだ。ワトソン君よ!!「定年後は花屋と思っていたが、ITバイオ技術の流れについていけないな!!」。「いやいや、技術はツールであって、やはり花の命は『心』と『センス』ですよ」と嫌味を言われてしまった。
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