大遊泳時代
<大遊泳時代>第32回 ITによる地方発全国区への挑戦を
2004/08/23 16:18
週刊BCN 2004年08月23日vol.1052掲載
松下電器産業 役員 前川洋一郎
最近、各地で町興しが盛んである。国道19号線では「道の駅」が増え、特産品が集まっている。平沢の「くらしの工芸館」(長野県木曽郡楢川村)には、木曽檜の木工製品や漆製品が並び、山の中にもかかわらず各地から多くの人が訪れる。これら昔ながらの名産で、全国区になっているものは良しとして、それこそ地味ながら、地場の特産品をIT活用で販路拡大し成功した例は枚挙にいとまがない。北海道の水産加工品業者の加藤敏明社長は、「インターネットで蟹が売れるわけがない」との反対を押し切って、産直グルメ通販サイトを成功させ、売り上げ10億円(2003年度)にした。売りの8割は3万人のメルマガ客で、リピート率は4-5割に及ぶという。始めは何事も試行錯誤と冒険である。ITを使った地域情報サービスも、岐阜市と中京TVと松下電器は行政サービスを地上デジタル・データ放送で実験。好評だったので、継続的なサービス運用までのバリアをなんとか乗り越えたい。CATVでは高槻ケーブルネットが松下の「見えますネット」を活用して、マンションやペットショップの「みまもりネットサービス」を展開。まだ小さなビジネスだが、地域活性化が楽しみ!
地域情報サービス事業者も頑張っている。タウン情報全国ネットワーク(緒方邦博社長)は、地域のタウン情報33誌を全国ネットワーク、さらに松下と協業で動画コンテンツ制作、DB化を開始。初の地方発全国版タウン情報メディアとして今後に期待したい。岡山県は県内に10ギガビット情報ハイウエイ・インフラを構築。全国へのサービス展開に燃えている。地域活性化もローカルにとどまっていては限界。上手なIT活用で、全国区になることが成功の秘訣!!ねえワトソン君!「昔、大阪も飛脚、電話、汽車の時代は全国区だったのにね」。「そうですよ、ITの東京集中行政に翻弄され、大阪発全国区を忘れたのですね」。
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