China 2004→2008
<China 2004→2008>14.苦戦する知的財産政策
2004/08/18 16:18
週刊BCN 2004年08月09日vol.1051掲載
中国政府は当初、特定の通信会社へTD-SCDMA採用を強制することで、後発の同規格が不利にならないようにと考えていたようだ。何しろ国際標準規格として商用実績を持つW-CDMA、cdma2000に比べ、TD-SCDMは端末向けチップの開発が遅れるなどして、商用化のメドがなかなか立たなかった(今現在もその技術成熟度を不安視する声はある)。自由競争下での不利は明らかだった。
ところが、自国の技術であるcdma2000をプッシュする米国政府がWTO(世界貿易機関)を盾に貿易障害と訴えたことから、中国政府は「どの3G規格を採用するかは通信会社の自由裁量」という態度を“装う”ようになった。これが市場の先行きを見えにくくしている。ただ最近、中国で携帯電話の事業免許を持つ中国移動通信と中国聯通は、3G規格にそれぞれW-CDMA、cdma2000を採用するとの見方が強まっている。2社とも米国証券市場に上場しており、未知の技術を採用するリスクは避けたいはず。現行の技術基盤との整合性を考えても順当な選択だろう。
中国では、3G携帯電話が始まると、新たに数社の通信会社に事業免許が与えられると見られる。その最有力候補であり、中国最大の通信会社である中国電信、2番手の中国網通もW-CDMAになびき、通信設備メーカーとの商談を進めていると言われる。今のところ、TD-SCDMへのサポートを表明する大手通信会社は皆無。唯一、衛星通信を手掛ける中国衛通が「1000億円規模の設備投資を計画している」という現地での報道があるのみだ。中国発のTD-SCDMを普及させ、知的財産を形成・発展させるという中国政府のもくろみは、もろくも崩れ去るのだろうか。
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