“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>65.ネットイヤーグループ

2004/08/09 20:43

週刊BCN 2004年08月09日vol.1051掲載

 インターネット関連システム構築のネットイヤーグループ(石黒不二代社長)は、2004年度第1四半期(4-6月期)の売上高が前年同期比で3割増に達するなど業績が急拡大してきた。昨年度は03年7月-04年3月の変則9か月決算だったが、03年4月から04年4月までの期間と比較して今年度通期(05年3月期)売上高は5割増の12億円となる見込みだ。顧客企業がウェブなどのインターネット媒体を活用するための投資を活発化させていることが業績拡大の要因だ。

旺盛な投資意欲で増収続ける

 こうした市場動向に加えて、ネットイヤーグループでは顧客企業の投資意欲を持続的に引き出すための営業力を強化している。これまでは、コンサルタントによる単発プロジェクトの受注が多かったが、営業人員を増員して営業力を強化してからは2-3年先を見越した中長期的な提案ができるようになった。

 その一方で、インターネット関連のシステム構築を進めていく上で、バックエンドやミドルエンドで使われている顧客データベースと、ウェブなどのフロントエンドで使う顧客データベースとの統合作業がビジネス展開上欠かせない課題となって急浮上してきた。これは、データベースを統合することで、より大幅な業務改革が実現できるため。

 しかし、これまでのネットイヤーグループは、フロントエンドに特化してきたこともあり、大規模なシステム構築案件は受注してこなかった。

 そこで、データベース統合などの要望が「ここ1-2年でとても強くなってきている」(石黒社長)ことを受けて、昨年7月、大手システムインテグレータのソラン(千年正樹社長)の傘下に入った。これにより、インターネット関連だけでなく、より大規模なシステム案件の受注も可能になった。

 インターネットを媒介としてエンドユーザーに接するフロントエンド部分と、商品やサービスを提供する顧客企業の基幹系システムとをシームレスに設計・構築する能力を得たことで、「受注可能な範囲が、大幅に拡がった」(石黒社長)と、今後の受注増に期待を高める。

 また、今年度第3四半期(10-12月期)をめどに、ネットイヤーグループ自らがインターネットを活用したマーケティングなどのビジネスを計画している。これまでは顧客企業向けのシステム構築やビジネスモデル考案が中心だったが、今後は、自らエンドユーザーに接点を持つことで、さらなるノウハウの蓄積や売上増といった好循環の創出を目指す。(安藤章司)
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