IT Stock Frontline
ハイテク、決算悪で下落 失望感広がる
2004/08/09 16:04
週刊BCN 2004年08月09日vol.1051掲載
IT関連株価は上昇
東京市場は日経平均が5月の安値(1万505円)に接近するなど調整ムードを強めてきた。要因はまず米国株の下落。ダウ平均、NASDAQ指数ともに今年の安値水準に下落している。8月10日にFRB(米連邦準備理事会)は0.25%の利上げを実施したが、今後の利上げについては「緩やかなペース」というスタンスを継続、9月の追加利上げの可能性がある。一方では原油価格が過去最高値に上昇、これが企業収益、個人消費に悪影響を与えることが懸念されている。また、シスコシステムズ、ヒューレット・パッカード(HP)などハイテク企業の決算が予想以上に悪かったこともマイナス材料。そして国内要因としてはデジタル景気終焉への警戒感がある。
こうしたなか、IT関連は好業績を確認した企業については全体に逆行して株価は上昇している。例えば10日に四半期決算を発表した富士ソフトABC。携帯電話や産業ロボット向け組み込みソフトなどが好調で、4-6月期の経常利益は20億5700万円(前年同期は13億7500万円)と拡大。受注残は289億円と1年前に比べて23%増となっている。株価は決算を好感して急騰した。
また、IPO(株式新規公開)は、ひところの異常人気が沈静化、成長力のある企業を選別する展開となっている。そうしたなか、人気を集めたのが5日に東証マザーズに新規上場したテンアートニ。公募価格28万円に対して初値は59万8000円となり、13日には一時80万円台まで上昇した。同社はJava、Linuxの技術を使用したシステム構築を手掛ける。上場後の記者会見で喜多伸夫社長は「中期計画はできるだけ早期に公表する方針だが、2008年3月期の売上高50億円(今期の会社側計画34億円弱)、経常利益4億円(同2億1500万円)が最低ラインになる」と語った。(有賀勝久)
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