拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略

<拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略>第17回 システムインテグレータのシティアスコム編(3)

2004/08/02 16:18

週刊BCN 2004年08月02日vol.1050掲載

 金融、流通・サービス、公共分野のシステム構築を得意とするシティアスコムは、九州地区の上場企業や中堅企業を中心に情報システム構築を数多く手がけてきた。単独でシステム構築を受注するケースが大半だが、他のシステムインテグレータやISV(独立系ソフトウェアベンダー)と協業して取り組むケースもある。このため、「プロジェクト別の進捗や収益の管理、受注先の与信管理、協業先の詳細な選定・評価は必須だった」(陣内昭浩・事業本部流通・製造第一事業部マネージャー)と、スピーディな判断材料を必要としていた。

プロジェクト別収益管理は必須

 「SAP R/3」を導入する前の旧システム(富士通ビジネスシステム製の経理システム)では、小型の受注案件が増えたことで、処理しきれないほど情報量があふれ、プロジェクト別の様々な管理に手間取っていた。このため、旧経理システムのサポートが切れる昨年夏が、「新システムへの移行を検討する1つのきっかけとなった」(陣内マネージャー)という。このような、シティアスコム側の要求をすべてクリアできたのが、SAPジャパンのパートナーであるユアソフトのR/3短期導入ソリューション「リアルモデル」だったようだ。

 プロジェクト別の収益管理では、複雑な経費配分などがリアルモデルで標準搭載の「特別周期プログラム」が使えた。また、マスターや残高移行、システムテストに欠かせないテストデータの作成なども、リアルモデルに標準搭載された汎用パッチインプットツールを活用することで対応できた。一方、シティアスコム側でも、業務そのものをSAP標準に合わせる改善策も講じ、システム構築期間わずか3か月弱という短期導入を成功させている。

 シティアスコムは、福岡市の本社のほかに東京・日本橋に東京支社を構える。旧システムでは、本社と東京支社間の日々の業務状況はファクシミリやメールベースで行われ、「リアルタイム性に乏しかった」(陣内マネージャー)。だが、クライアント/サーバーベースのR/3を導入することで、ウェブ上で情報交換がスムーズになり、個別案件の経費や与信などの管理を、両拠点間でレスポンス良く実施することが可能になった。

 シティアスコムのR/3を導入したユアソフトは、「当社の『リアルモデル』の良さを、今回のビッグバンに参加したシティアスコムのメンバーが深く理解して取り組んだ。それで短期導入を実現できた」(小野哲二・企画部教育企画主任)と話す。R/3が稼動して約4か月が過ぎたシティアスコムは、旧システムでは「月次決算」までしか出せなかったが、今後は、プロジェクト別の原因調査を迅速化するためにも、「週次」、「日次」へと収益管理や分析を細かく出し、安定した業績を築くことを狙っている。(谷畑良胤)
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