“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>63.日本電子計算

2004/07/26 20:43

週刊BCN 2004年07月26日vol.1049掲載

 日本電子計算(JIP、小倉勝芳社長)は、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)との協業を通じて、オリジナル開発の生産管理システム「ジプロス」の拡販を狙う。日本IBMを「有力な販売チャネルの1つ」(木村優治・経営管理本部経営推進室部長)として位置付け、ジプロスの拡販に結びつける。

新規ソリューション拡販で協業

 JIPはマルチベンダーを基本としており、特定のベンダーとだけの関係を重視する戦略を採用していない。さらに昨年度(2004年3月期)のハードウェアの売上高のうち日本IBMの製品が占める比率は1割程度と低かった。それにも関わらず協業に踏み出した背景には、日本IBMがジプロスの販売協業に前向きな姿勢を示したばかりでなく、日本IBMが製造業向けの経験が豊富だからだ。生産管理システム市場は、JIPにとって積極的な開拓を目指す重点分野であり、スピードを速めるためにも協業が不可欠だと判断した。

 これまで、システムインテグレータにとって、ベンダーは「ハードウェアを調達する仕入れ先で、商談の内容は仕切値を下げてもらう交渉が中心」(関係者)と、ベンダーからシステムインテグレータへと一方的に商品が流通する関係だった。だが、今回の協業ではJIPのジプロスが日本IBMを通じて顧客の手元に届くという“逆転現象”が起きる。JIPにとってみれば「一方的に購入するだけでなく、当社のソリューションの販売パートナーになっていただく」(木村部長)と、ベンダーとの関係の変化を話す。

 一方、日本IBMの狙いは、協業先が開発する業務アプリケーションソフトを、DB2やウェブスフィアなど自社のミドルウェアに対応させる点にある。業務アプリケーションが売れれば、これを支えるIBMのミドルウェアが売れ、結果的にハードウェアの販売に結びつくと計算する。JIPは、ジプロスのデータベースをオラクルに対応させる以外に、IBMのDB2や統合アプリケーションサーバーのiシリーズのデータベースにも対応させた。

 ジプロスは来年度(06年3月期)に100システムの販売を見込むが、このうち半分ほどを「日本IBMとの協業効果」(木村部長)による販売になると予想する。今年5月末から隔週ペースで、JIPと日本IBMの協業を促進する通称「協業ミーティング」と呼ばれる販売戦略会議を開催し、両社とも拡販に向けて突っ込んだ議論を展開している。「互いに納得できる数字を達成し、協業の成功事例の1つにする」(同)と販売に意欲を示す。(安藤章司)
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