拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略
<拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略>第16回 システムインテグレータのシティアスコム編(2)
2004/07/26 16:18
週刊BCN 2004年07月26日vol.1049掲載
新たな事業展開に短期導入は必須
シティアスコムがR/3導入でリアルモデルの採用を決定したのは昨年10月末。ビッグバン・プロジェクトは11月に始まり、翌月にビジネス設計、今年2月後半に本番環境の構築を終えた。実質、3か月足らずでR/3の導入を完了している。シティアスコムが「短期導入」にこだわった理由の1つは、「新年度が始まる2004年4月までに新システムを稼動し、新たな事業展開をしたい」(陣内マネージャー)という思惑があったからだ。ユアソフトは三井金属の情報システム子会社で、これまでにグループ会社約60社や外販でも10数社にリアルモデルでR/3を短期導入してきた実績がある。この過程で培った導入方法論の集積が、シティアスコムをすんなり納得させる材料となった。「組織、勘定科目、得意先、仕入先、品目の5つのマスターを登録するだけで、R/3上に基本的な企業モデルを構築できることが分かった」(シティアスコムの陣内マネージャー)ため、全体のシステム構築スケジュールと予算が明確にできたことが決め手になったという。
シティアスコムはこの15年間、これまで使っていたIBM製のオフコン「AS/400」から、断続的にオープンシステムへの移行を進めてきた。しかし、R/3を導入する前のシステムでは、「電子データは、蓄積する容量が不足しており、前月までの情報しか見られなかった」(陣内マネージャー)という。だが、新システムでは、「月次決算を月末に確実に出すことが可能で、順次、電子データの蓄積もでき、プロジェクト別の収益管理が迅速に行えるようになった」(同)と、R/3導入の効果を語る。
シティアスコムはシステム構築費を明らかにしていないが、「アドオンを含め予定通りの額に収まった」(陣内マネージャー)とし、当初計画通りに進んだことを強調する。業務系システムでは、人事・給与システムがまだR/3と連動していないが、SAPジャパンが4月に出荷を開始した統合アプリケーション・プラットフォームの最新版「SAPネットウィーバー2004」により、「ネットウィーバー上で小回りの利く、人事・給与のアプリケーションとの連携したシステムを構築。これにより、社員のスキル管理や目標管理を実施して人材開発のための基礎データを蓄積したい」(同)と、次のステップをすでに検討中だ。(谷畑良胤)
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