IT Stock Frontline

テンアートニ前人気

2004/07/26 16:04

週刊BCN 2004年07月26日vol.1049掲載

レガシーシステム更新需要期待

「2007年問題」が後押し

 好人気が続くIPO(株式新規公開)。公募価格の3倍、4倍の初値をつけるケースも珍しくないものの、あまりの過熱状態に反省機運が出ている。この先は企業内容による選別の動きが出そうだ。

 8月の新規上場では、5日のテレビ東京(東証1部の見込み)が企業規模や知名度の高さから話題を集めているが、同日に東証マザーズに上場するテンアートニの前人気も高い。

 同社はJava、Linuxの技術を使用したシステム構築を手掛け、Linux世界最大手ディストリビュータであるレッドハットとビジネスパートナー契約を結ぶ数少ない企業の1つ。前12月期の販売実績はLinux関連61%、Java関連38%。販売先トップは親会社の大塚商会(上場前の出資比率57%)で、売上高の28%を占める。なお、ドワンゴ、サイバードなどに出資した実績を持つインテルパシフィック・インクが第3位株主。社名は「10(ten)の芸術(art)のネットワークイノベーション(ni)」をつなげたもの。逆さから読むと「intranet(イントラネット)」となる。

 このテンアートニの人気を後押ししているのが、情報サービス業界における「2007年問題」。これは団塊の世代が大量に退職を迎えることにより、レガシーシステムへの技術者不足が懸念されていることを指す。昭和22年生まれが60歳で定年を迎えるのは2007年になる。大和証券が「2007年問題への対応迫る、システムの更新需要を期待」というリポートを発表。これをきっかけに関連株に人気が向いた。

 例えばイーシー・ワン(ジャスダック)。オープン技術を用いた高いシステムインテグレーション技術を持つことが手掛かりとされ、5月の安値14万円台に対して37万円台まで上昇。テンアートニの親会社、大塚商会の株価は7月14日に6200円と今年の高値を更新した。(有賀勝久)
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