“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>62.東芝ソリューション

2004/07/19 20:43

週刊BCN 2004年07月19日vol.1048掲載

 東芝ソリューション(河村進介社長)は、中堅・中小企業向けのSAP関連ビジネスの拡大を図る。同社は、オラクルEBSで業界トップクラスの納入実績があるものの、SAP関連ビジネスでは出遅れていた。このため、まずは年商1000億円以下の中堅・中小企業向けのSAP関連ビジネスで実績をつくり、SAP担当技術者の着実なスキルアップを進める。

SAP関連ビジネス拡大へ

 昨年4月にSAP担当技術者を約30人増員し、現在約80人の体制で臨んでいる。課題は「技術者の数より、技術者のスキルや実務経験を高めること」(東芝ソリューションの志田弘一・ソリューション第四事業部技師長)と、技術者のスキルアップがSAP関連ビジネスの拡大のポイントになると考える。

 中堅・中小顧客向け財務会計のノウハウそのものは豊富だ。エス・エス・ジェイのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「スーパーストリーム」の納入数が累計250社に達するなど、財務会計に精通した技術者も多い。だが、スーパーストリームは財務会計と人事給与が中心。顧客企業のトータルなERP需要をカバーしにくい面もある。

 このため、SAP関連ビジネスでは総合的なERPパッケージとの位置づけで事業拡大に力を入れる。すでに、SAP関連ビジネスでは、プライム(主契約)での受注に加え、SAP技術者の技術派遣ビジネスに取り組む。

 技術派遣では、主にプロジェクトリーダー級の上級技術者の派遣が中心。過去にプライム受注によるプロジェクト経験がなければ「顧客企業からは受け入れられない」(同)ほどの高いノウハウが求められる。同時に、派遣先でさらに高いノウハウを積み上げた技術者が、再びプライム受注の仕事をすることで、顧客満足度をさらに高めるという“好循環”をつくりだした。

 昨年度の中堅・中小企業向けのSAP関連のプライム受注件数は5件程度。しかし、技術者のスキルアップなどを武器に今年度は2倍の10件程度の受注を目指す。

 また、中堅・中小企業向けの売上高のうち、ハードウェア関連が占める比率は昨年度で約6割を占めていた。だが、SAP関連ビジネスなどソリューション事業の拡大を進めることで、今年度の中堅・中小向け比率は5割を下回る見込み。収益性がよいソリューション比率が高まることで、今年度の中堅・中小企業向け事業の粗利率は10ポイント程度改善する見通しだ。(安藤章司)
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