IT Stock Frontline

ハイテク株後退

2004/07/19 16:04

週刊BCN 2004年07月19日vol.1048掲載

米ヤフー下落にショック

米国相場下落が影響

 4-6月期GDP(国内総生産)は、期待通りの景気回復を示したほか、米国の利上げも予想通りの幅(0.25%)に収まった。懸念材料は後退したものの東京市場に熱気はなく、サマーラリー(夏相場)突入の期待は裏切られた。

 要因の1つは米国相場の下落。ハイテク企業中心に業績の下方修正や投資判断の引き下げが相次いだことが嫌気された。特に市場にショックを与えたのが米国ヤフーの急落。7日に発表した4-6月期決算は売上高が前年同期比90%増、純利益は2倍に達した。ところが株価は下落。あえてマイナス点を探せば、通年の売上高見通しが低めということぐらいで、投資家の好数字を期待し過ぎたことが失望につながったようだ。

 ヤフーの株価は6月末に36ドルと年初来高値を付けていたが、決算発表後には30ドル台へと急落。アマゾン・ドット・コム、イーベイといった他のネット関連株にも売りが波及した。

 こうした米国株の下落、半導体市況の不透明、韓国サムスン電子の株価が下げ止まらないなどが、日本のハイテク株の重荷になっている。半導体製造装置のアドバンテストは連日の安値更新、ソニーは6月中旬以来の4000円割れとなった。

 日米ともに4-6月期決算が7月末にかけて本格化する。日本ではソニー、シャープが28日、松下電器産業、日立製作所、三菱電機が29日。この四半期決算を見極めたいとのムードも買い控えにつながっているようだ。

 一方で、新興株市場は個人投資家の旺盛な物色意欲を映して活況。ネットでの暗号化技術を開発しているシーフォーテクノロジー、金融機関向け基幹システムの受注が拡大しているサン・ジャパン、銀行向けシステム開発などのアクセス、株式や債券の取り引きシステムに強みを持つシンプレクス・テクノロジーと、特に金融機関に強い企業の株価上昇が目立った。(有賀勝久)
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