“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>61.富士通(中国)信息系統

2004/07/12 20:43

週刊BCN 2004年07月12日vol.1047掲載

 中国でシステムインテグレーション事業を手がける富士通の現地法人、富士通(中国)信息系統(上海市、郭尊華・董事兼総経理)が中国に進出している日系企業向けのビジネスを伸ばしている。2001年度(02年3月期)以降、在中国日系企業向けのビジネスは前年度比で平均4割増と順調に拡大してきた。中国の急速な経済発展を受けて、日系企業の中国市場におけるIT投資がさらに増えていることから、今年度(05年3月期)は、日系企業向けビジネスで前年度比2倍程度の伸長を見込む。

中国進出の日系企業をサポート

 富士通(中国)信息系統の中国における日系企業顧客のうち、約7割は製造業が占めており、その多くが中国に生産拠点を構えている。このため、全投資額に占めるIT関連の比率は、生産設備への投資に比べそれほど多くなかった。ところが、中国国内市場の消費力が急速に拡大してきたことから、新たに販売管理や顧客管理システムなどへの投資を増やす日系企業が相次いでおり、これら新規IT投資の獲得に全力を注いでいる。

 現在、中国に進出している日系企業は約3万社といわれる。富士通(中国)信息系統では、このうち約1000社と取り引きがある。同社の強みは、日本国内と変わらない手厚いサポート・サービスを中国で享受できる体制を構築している点。「今後も日本国内と同様の高いサービス品質を堅持する」(田中達也・ソリューション統括営業部総経理)ことで差別化を図る。

 だが、日系企業が中国でのIT投資を活発化しているのに加え、重慶や昆明などの内陸部へ拠点を増やしている顧客も少なくない。今後は、案件数や納入箇所が増えてもサービスの質を落とさないように、地元中国のシステムインテグレータをはじめとするパートナー企業の拡充にも力を入れる。これまでにも日系企業関連のビジネスにおいて、中国国内で100社程度のパートナー企業と取り引き実績を築いてきた。

 パートナー企業とは、ERP(統合基幹業務システム)や生産管理、サポート・サービスなど、パートナー企業の得意領域に合わせた協業を進める。パートナーと歩調を合わせた同行営業や共同プロジェクトの件数を増やすなどして、パートナーへのノウハウ提供や関係強化を進める。パートナーとの協業を進めることで、来年度(06年3月期)は日系企業向け売上高のうち、パートナー経由による間接販売の比率は全体の1-2割に増える見込みだ。(安藤章司)
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