China 2004→2008
<China 2004→2008>10.「私企業の代表格」UFソフト
2004/07/12 16:18
週刊BCN 2004年07月12日vol.1047掲載
中国情報産業部の発表した最新の独立系ソフトベンダー(ISV)ランキングによれば、1位が東軟集団(ニューソフト)グループの瀋陽東軟、2位が北京用友軟件(UFソフト)、3位が金蝶軟件(キンディー)である。
1位の東軟集団は日本のNTTデータに似た存在で、システムインテグレーション最大手。瀋陽東軟はそのソフト開発子会社だ。UFソフトとキンディーはともにERP(統合基幹業務システム)パッケージを柱とするベンダーで、中国国内のERPパッケージ市場で1、2位を争っている。
特に2位のUFソフトは成長が著しい。IDCの調査によれば、同社は業務ソフトで16.4%、ERPパッケージは19.0%、主力となる会計ソフトで27.2%と中国でトップシェアを持ち、電子政府分野でも存在感は大きい。ISVとしては中国最大手となる。
このUFソフトを立ち上げた王文京氏は江西省の僻村に生まれながら中央官庁まで上り詰め、政府機関の会計ソフト開発に携わった後、1988年、24歳の若さでUFソフトを設立した。第1世代の私企業を代表する企業だ。
従来、中国製の業務ソフトが採用されるのは中小企業が多く、しかもその多くは会計ソフトだった。
UFソフトはこの会計分野で着実に力をつけ、製品ラインアップを増やし、中堅・大企業向けERPパッケージ分野へ進出。現在の地位を築き上げた。
その意味では、「勘定奉行」をベースに発展してきた日本のオービックビジネスコンサルタント(OBC)の歴史に似たものがある。
この5月には日本法人・日本用友ソフトエンジニアリングを設立しており、中国へ進出する日系企業からの受託開発を本格的に狙い始めた。
実際、中国で会計システムに同社製品を採用する日系企業は少なくない。UFソフトでは、強みを持つ会計ソフトを絡めた業務システムの受託開発につなげていく考えだ。
ここまでは順風満帆に業績を拡大させてきたUFソフトだが、今後は独SAPなど外資系メーカーとのし烈な競争を迎える。
日本と違って中国の場合、企業のERP投資はこれから本格化する。その中でも現在の地位を守り通せるか。興味深いところである。
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