拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略

<拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略>第12回 文具・事務機卸のジョインテックス編(2)

2004/06/28 16:18

週刊BCN 2004年06月28日vol.1045掲載

 文具・事務機器卸のジョインテックスは昨年9月から、「スマートオフィス」と呼ぶオフィス関連の文具店や販売店を支援するEC(電子商取引)戦略を開始した。日立製作所が手がけたメインフレームの再構築により、「ランニングコストが削減できたおかげで、新戦略に資金を投入することができた」(ジョインテックスの長谷川治・執行役員経営管理本部システム企画部部長)と話す。

ランニングコスト削減で新戦略へ投資

 スマートオフィスは、文具店や販売店のウェブサイト向けにジョインテックスが大手ITメーカーに依頼して開発したEC機能。同社の新SCM(サプライチェーンマネジメント)システムと連動している。この連動システムを文具店や販売店に提供し、「あたかも文具店や販売店が自分のウェブサイトで独自にECを展開しているかのように見せている」(ジョインテックスの小澤岳・執行役員社長室室長兼人事部部長)と説明する。

 文具店や販売店のウェブサイトから注文があると、ジョインテックスの新SCMへ自動的に展開され、短期間で商品が配送される仕組み。ジョインテックスはこれまでに、スマートオフィスを約1万サイト立ち上げている。文具関連のECとしては、アスクルのオフィス用品デリバリー事業が知られるが、「アスクルは、文具メーカーの販売ポータルサイトを運営している。当社はその戦略を見習いつつも、これとは違う販売戦略を検討してきた。その結果、スマートオフィスにたどり着いた」(長谷川執行役員)という。スマートオフィスを使い、企業が文具品や衣料、食品などを一括して購入すると、定価より安く買えるパック販売も充実している。

 実は、このスマートオフィスと新SCMを受注したのが、メインフレーム再構築の際、日立製作所に競合で敗れた日本アイ・ビー・エム(日本IBM)だ。「基幹システムは日立製作所に発注したが、日立だけにすべてのシステムを発注するわけではない。顧客満足度を高めるうえで、最適なシステム提案を選択しただけ」(長谷川執行役員)と1社にこだわるつもりはない。5月下旬、ジョインテックスでは、日立製作所が構築した新基幹システム「Light-Jシステム」に拡張性を高めた「Light-J2システム」を稼動させた。日立製作所はすでに、ジョインテックス向けにマイナーチェンジをした次の基幹システムを提案しているが、新SCMを構築した日本IBMと再度、競合することも予想される。(谷畑良胤)
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