China 2004→2008

<China 2004→2008>7.中国のIT系企業は小粒

2004/06/21 16:18

週刊BCN 2004年06月21日vol.1044掲載

 いささか寄り道をしてしまったが、今号から本題である「中国のIT産業」を見ていこう。(坂口正憲(ジャーナリスト))

 ここでいうITとは、広義の情報通信技術のことであって、インフラからハードウェア、ソフトウェア、サービスまで、適用分野としては個人から企業までを含むものだ。それだけ産業としては広大で、勢力も複雑に絡み合う。

 幸い先頃、中国情報産業部から「2003年・電子情報産業トップ100社」の発表があったので、それを端緒に説明していきたい。トップ5の顔ぶれを紹介すると、

1位・海爾(ハイアール)
2位・聯想(レノボ)
3位・TCL
4位・上海広電(SVA)
5位・南京熊猫電子

と、上位3社は日本でもおなじみの企業だろう。

 1位のハイアールと3位のTCLは携帯電話などデジタル機器も製造しているが、IT産業企業というより純粋な家電メーカーである。

 よって、IT系企業のトップはパソコン市場でナンバーワンシェアを持つレノボ。03年、同社の売上高は5200億円である。

 今回のトップ100社ランキングには、過去IT系企業トップの座を守ってきた中国普天信息産業(通信機器メーカー最大手)が株式公開を控えて含まれていないが、仮に含まれていたとしても、ハイアール(売上高1兆500億円)に大差をつけられた2位だったと見られる。

 つまり中国では売上高1兆円を超えるIT系企業はない。ちなみに日本には12社、米国には10社ある。中国のIT系企業は世界市場から見ると“小粒”なのだ。

 産業全体でも規模は小さい。中国情報産業部の発表によれば、電子情報産業全体の生産額は前年比34%増の4000億元(日本円で5兆2000円)である。この数字にはハイアールやTCLなど家電メーカーの売上高も含まれる。

 これに対して日本は、電子情報技術産業協会(JEITA)が統計をとる電子情報機器のみで20兆円。パソコンやインターネットのユーザー数は日本を上回る勢いを見せながら、中国IT産業は規模として日本に遠く及ばない。為替水準の問題もあるのだが、中国IT産業はまだ規模が小さく、プレーヤーは小粒。これを念頭に話を進めよう。
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