IT Stock Frontline

企業の設備投資増加

2004/06/21 16:04

週刊BCN 2004年06月21日vol.1044掲載

デジタル家電好調を背景に

ハイテク企業恩恵うける

 「デジタル景気の継続」、「設備投資の増加」──。2004年度(05年3月期)の企業収益を見通す上で、この2つがポイントになりそうだ。上場企業の03年度の決算発表を受けて証券系調査機関では04年度の収益見通しをまとめたが、各社とも従来予想を上方修正している。

 大和総研では04年度の経常増益率(金融を除く全産業)を16.9%と3月時点の予想(13.4%)から上方修正したが、「増益寄与度が最も高い電機セクターはデジタル家電ならびにその半導体・部品などが牽引する」としている。

 野村証券金融経済研究所も経常増益率を上方修正したが、デジタル家電の引き続きの拡大に加え、好調な企業収益を背景に設備投資は04年度も10%を超える高い伸びを見込んでおり、「設備投資の活況は機械やソフトウェアなどの業種に恩恵をもたらす」としている。

 こうした見方を裏付けるように、6月10日に内閣府が発表した4月の機械受注は前月比11.8%増に達した。このうち製造業からの受注は30.6%増と87年の調査開始以来最大の伸びを記録。半導体製造装置などデジタル家電の需要好調を背景にした設備機器の受注が活発化している。

 景況感の改善を背景に長期金利が上昇、10年物国債の利回りは1.7%台と00年11月以来の水準に上昇してきた。債券から株式への資金移動が鮮明になり、株式市場は活況を取り戻している。

 主力ハイテク株では富士通が本年の高値を更新。04年3月期の決算好調・復配、サン・マイクロシステムズとのサーバーでの提携、サムスンSDIとのプラズマパネルの特許訴訟和解など、このところポジティブな話題が多い。また、保守サービスを行うFsas(東証1部)を今年10月に完全子会社化すると発表した。情報サービス分野の強化を狙う。Fsasは上場廃止となる。

 株価が上昇トレンドに入るなか、幅広い投資家の資金の受け皿になる銘柄として知名度が高く、好業績の大型企業の人気が高まりそうだ。キヤノンは高値に接近している。(有賀勝久)
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