“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>57.有隣堂

2004/06/14 16:18

週刊BCN 2004年06月14日vol.1043掲載

 有隣堂(松信裕社長)は、神奈川県に密着した営業で業績を伸ばしている。有隣堂は書籍販売を売上高の柱とする一方で、情報システム関連ビジネスも売上高全体の約3割を占める主要事業となっている。情報システム関連事業については40年近い実績があり、オフコン全盛期には地場企業を中心に数多くの情報システムを納入した。

顔の見える営業

 現在、情報システム関連の年商は約150億円。このなかには情報機器販売やソフトウェアの開発に加えて、複合コピー機やファクシミリ、LAN敷設工事なども含まれている。ここ数年は情報システム関連の売上高が堅調に伸びている。その強さの背景には地元密着営業による顧客との結び付きの強さがある。

 これまで40年近いビジネスを通じて、顧客の業務システムの作り込みや業種ノウハウを蓄積してきたことが「長年にわたり顧客から支持を得る」(牧幸雄・第二営業本部オフィス営業部システムソリューション課課長)原動力となっている。また、「有隣堂は書籍販売の店舗や出版物も多く、地元顧客にとって“顔が見える企業”として営業に行きやすい」(同)という点もプラスに働いている。

 業種別で見ると、製造業および流通卸業への納入実績が豊富で、ここ1-2年は製造業の設備投資が上向いている。神奈川県は、横浜市や川崎市など製造業が強い地域が多く、これら顧客が使う生産管理などの需要が拡大している。流通卸業向けでも、取引先がオープンシステム化へ移行するタイミングでのシステム刷新の需要が相次いでいる。

 オフコン時代から手組みのシステムを納入してきた顧客に対しては、その要望を踏まえて、オープンシステムへの移行支援を手厚く実施している。有隣堂では、オービックビジネスコンサルタント(OBC)のERP(統合基幹業務システム)「奉行シリーズ」へのマイグレーションに力を入れており、顧客からの反応も上々という。

 ERPパッケージでカバーできない部分については、奉行シリーズをベースとした機能追加の技術を持つ開発パートナーと組んで、顧客に合った情報システムを作り込む。その過程で将来的に独自の業務パッケージの開発を進めることも検討している。

 一方、業種業務以外の分野では、複合コピー機と情報システムをネットワークで結んだドキュメントソリューションの展開にも力を入れる。豊富なノウハウを持ち、“顔が見える”地場企業の強みを生かすことで着実な事業拡大を目指す。(安藤章司)
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